2023.03.22

透明化法の運用状況 ~大臣評価の内容を中心に~ デジタルプラットフォーム取引相談窓口(オンラインモール利用事業者向け)オンラインセミナー


<取引条件等の情報開示>

取引条件等の情報開示については、「利用規約等が膨大な分量となる場合は、その中に利用事業者にとって重要な情報が埋もれてしまうことがないよう、わかりやすく開示する取組・工夫が求められる」ほか、「取引条件等の変更等を行うに当たっては、利用事業者の事情を勘案し、十分な準備期間を設けるとともに、変更内容や理由をわかりやすく説明する必要がある」とした。さらに「利用事業者との対話プロセスをより実効あるものとすることも必要」と指摘した。

 

<苦情相談対応>

苦情相談対応については、「利用事業者の数等の事業運営の実態を踏まえ、各社が創意工夫を凝らして講じていくものであるが、利用事業者の声も踏まえて継続的に対応の改善を図っていくことが求められる」とした。

 
<返品対応>

返品対応においては、「返品・返金に係る考え方や取り組みについて、利用事業者に積極的に分かりやすく説明すること、返品・返金実績に関する一定の情報を公表・説明すること等、利用事業者の理解増進や事業の予見性向上に向けた取り組みを進めていくことや、異議申立てプロセスを充実させるなどの対応を講じていくことを期待している」としている。

 
<アカウント停止>

アカウント停止については、「消費者等の利益保護とのバランスを図りつつ、適正なプロセスを確保するとともに、継続的に対応改善を図っていくことが求められる」とした。さらに「アカウント停止措置の適切性について外部検証できるよう、アカウント停止措置に対する異議申立て件数や事例等について説明することを期待する」としている。

 
<自社サービスの優遇懸念>

検索結果の表示順位などに関する自社サービスの優遇懸念については、大手オンライモール運営者が「その透明性・公正性を高める必要が高い存在である以上、利用事業者のみならず、有識者をはじめとした世の中の懸念を払拭していくことが重要である」とした。さらに「自社及び関係会社の優遇の有無、自社優遇がある場合はその正当性について、客観的に検証できるようなかたちで情報開示や体制整備を進め、その内容を説明していくことを期待する」としている。

 

透明化法の運用を通じて見えてきた効果


透明化法の運用を通じて見えてきた効果として、以下の3点が挙げられる。

①透明化法の義務履行を通じた効果

 ・分かりやすい説明、日本語による説明、苦情相談対応の充実などの取組が進んだ。

②透明化法に違反するおそれのあった事案を通じた効果

 ・調査過程で、被害回復措置や再発防止策が自主的に講じられている

③大臣評価の結果を踏まえた効果(今後)

 ・大手オンライモール運営者には、大臣評価の結果を踏まえて運営改善に努める義務がある。今後、その成果が見えてくるであろう。次回のモニタリング・レビューにおいて確認していく。

加えて、今回のモニタリング・レビューを通じて、大手オンラインモールの運営方針やルールの背景にある考え方が明らかになった。こうした情報開示の進展は、大手オンライモール運営者と出店者並びに社会全体との相互理解や信頼関係の向上につながっていくものと期待される。

最後に、皆川弁護士は、透明化法に基づくモニタリング・レビューにおいては、利用事業者の声が重要であると説明し、デジタルプラットフォーム取引相談窓口への情報提供を呼びかけた。


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