2024.04.22

【越境EC特集「トレンド分析」】海外進出は不可避の選択肢に!?米国、中国、東南アジアの傾向は?


経済産業省が公表した「電子商取引に関する市場調査」の推計によると、2021年の世界の越境EC市場規模は7850億ドルだった。2030年には、7兆9380億ドルにまで拡大すると予想されている。そんな中、円安の影響もあり、日本企業の海外進出に拍車がかっている。インバウンドも狙い目だ。人口減による日本市場の縮小が目前に迫る中、「中長期的な成長を見据えたとき、日本企業にとって、海外進出は避けて通れない選択肢となってきている」(EC事業者)との声もある。



【米国】円安が後押しし進出増


経産省の推計では、2022年度の米国向けの越境ECの市場規模は、前年より増加し、1兆3056億円だった。

ジェトロが2024年3月に公開した「2023年度日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査」によると、「最も重要な輸出先」として、「米国」を挙げる回答は2割超で、最も多かった。2016年以降で「米国」が初めて「中国」を上回ったそうだ。円安も後押しし、日本企業の米国進出が増えているようだ。

各種ECを展開するBEENOS(ビーノス)の直井聖太社長は、「米国は特に伸びている」と話す。商材別では、アニメ・ホビー関連などの伸びが継続しているようだ。

越境EC展開を行うforest(フォレスト)も同様に、米国でキッチン用品や植栽関連の商品が伸長しているそうだ。米国は今後も、日本企業の有力な進出先であり続けそうだ。




【中国】39%成長の日本企業も


中国のEC市場では、「処理水」「景気後退」の影響で、苦戦する日本企業が相次いでいる。

一方で、成長を続ける日本企業もいる。高価格帯の化粧品・健康食品を展開するアクシージアの2023年7月期の中国EC売上高は前期比38.8%増の84億5400万円だった。同社の執行役員営業統括部長・王志華氏は、「”中国の各ECプラットフォーム(PF)の戦略”に沿って、施策に注力することが最も重要」と話す。マーケティング支援を行うNintのNint上海・経営戦略担当の堀井良威氏も「PFのトレンドに乗ることが重要。時流に全力で乗れれば日本企業にも商機がある」としている。


中国市場全体は拡大


堀井氏は、「中国EC市場自体は成長している。日本ブランドは苦戦しているが、欧米など他国のブランドは伸びている」と言う。「中国では、伝統的な検索型EC(アリババ・ジンドン)から、『興味EC(ユーザー個々の興味に応じた商品・サービスの提供により、潜在ニーズを掘り起こして購買を促進するビジネスモデル)』がトレンドとなり、各国は盛んに投資している」そうだ。

「興味EC」の代表格は短尺動画PF「ドウイン(中国版ティックトック)」だ。アクシージアでも、「ドウイン」に重点的に広告投資を行い、2023年8月‐2024年1月期(中間期)の「ドウイン」の売上高は、前期比81.3%増の21億3300万円と急拡大した。

中国市場はカントリーリスクが伴うが、世界最大のマーケットだ。今後の中国市場の本格的な復活に備えたい。

さらに日本を含め世界各国を、「ティックトック」「Temu(ティームー)」「SHEIN(シーイン)」など中国発PFが席巻している。

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