2023.03.22

透明化法の運用状況 ~大臣評価の内容を中心に~ デジタルプラットフォーム取引相談窓口(オンラインモール利用事業者向け)オンラインセミナー


デジタルプラットフォーム取引相談窓口(オンラインモール利用事業者向け)は2月10日、「透明化法の運用状況と出店者が気を付けたい法律知識(商標権)について」のオンラインセミナーを開催した。デジタルプラットフォーム透明化法(以下「透明化法」という)は2021年2月に施行され、同法に基づく大臣評価(特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性に関する経済産業大臣による評価)が、2022年12月22日に同法施行後初めて公表されたことを受け、第1部では「透明化法の運用状況~大臣評価の内容を中心に~」と題し、経済産業省商務情報政策局情報経済課デジタル取引環境整備室の法令専門官である皆川征輝弁護士が解説した。



オンラインモールの規制対象は3社

現在、透明化法では、総合物販オンライモール、アプリストア及びデジタル広告の各分野が規制対象となっている。そのうち、オンラインモール分野の運営事業者で規制対象となっているのは、アマゾンジャパン合同会社、楽天グループ株式会社、ヤフー株式会社の、大手オンラインモール3社となっている。なお、アプリストア分野・デジタル広告分野でもそれぞれ規制対象事業者が指定されている。

大手オンラインモールに対する義務


経産省が2018年に行った、デジタルプラットフォームの出店社を対象に行ったアンケート結果によると、「規約の一方的な変更により不利益がある」「解約・ペナルティの条件が不合理・不公正」「利用料・手数料が高い」「検索結果が恣意的or不透明」があったなどの声が寄せられた。このような出店者の声等も踏まえ2021年2月、大手デジタルプラットフォーム運営事業者の取引の透明性・公正性を図るため、透明化法が施行された。この透明化法では、大手デジタルプラットフォームには、「取引条件等の情報の開示・通知義務」と「自主的な手続き・体制整備義務」の2つの義務が課せられている。また、大手デジタルプラットフォームは自社の取り組み状況等について毎年度、自己評価を付した報告書を経済産業大臣に提出する義務を負う。経済産業大臣はこの報告書の内容や出店者の声に基づく市場課題を踏まえ、有識者等の意見を聞きながら、大手デジタルプラットフォームの透明性・公正性を評価する。そして大手デジタルプラットフォームは大臣評価を踏まえ、運営改善に努める義務がある。これらの仕組み・プロセスは「モニタリング・レビュー」と呼ばれている。

経済産業大臣による評価



大臣評価は、「透明化法上の義務がしっかり実施されているか」と「出店者からの悩み相談が多い課題についての取り組み状況」の2本立てとなっている。2022年12月に公表された大臣評価では、「提供情報等の情報開示は総じて改善」しており、「苦情処理・紛争解決等の体制整備についても、前向きに取り組んでいる姿勢が伺えた」となっており、一定の成果が見られた。

大手オンラインモールに今後期待される取組の方向性


他方で、個別には、大手オンラインモール運営者による更なる取組が期待される点もあり、大臣評価では、今後期待される取組の方向性も提示している。

 

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