2023.08.25

【「ふるさと納税」特集】寄付額上位に聞く成功の秘訣!自治体アンケートでは8割が「5割ルール厳しい」

有力な自治体、支援事業者に最新状況を取材


EC事業者にとっても「ふるさと納税」の返礼品事業者となることで、新たな販路を得ることができる。「ふるさと納税」の最新状況を把握するため、自治体の取り組み状況や意識が分かるアンケート調査を実施した。さらに、寄付額上位の自治体や、寄付額が増加している自治体の取り組みを聞いた。ふるさと納税の支援実績が豊富な支援事業者のサービスの魅力も取材している。多角的にふるさと納税の「今」が分かる特集となっている。



<CONTENTS>
▶【「ふるさと納税」独自アンケート調査】「寄付金増やしたいが人手不足」の声も
▶【寄付額上位自治体に聞く!成功の秘訣】1位「都城市」、4位「白糠町」の秘訣は?
▶【寄付額上位自治体に聞く!成功の秘訣】2位「北海道紋別市」にインタビュー
▶【寄付額59.1%増の理由は?】「佐賀県多久市」×「一般社団法人たく21」にインタビュー
▶【注目のふるさと納税支援会社①】サイバーレコード、高付加価値な返礼品で5割ルールに対応
▶【注目のふるさと納税支援会社②】新朝プレス、寄付額を33倍にした実績も
▶【注目のふるさと納税支援会社③】レッドホースコーポレーション、まちづくりをサポート
▶【注目のふるさと納税支援会社④】NE、「楽天ふるさと納税支援」に強み




【「ふるさと納税」独自アンケート調査】「寄付金増やしたいが人手不足」の声も


ふるさと納税市場が拡大している。2022年度(2022年4月〜2023年3月)の、全国のふるさと納税の寄付の受入額は、前年度比16.2%増の9654億円となり、寄付件数も16.5%増の5184万件となった。

一方で、寄付者の確定申告が不要になるワンストップ特例申請の事務費用なども含めて経費の総額を寄付額の5割以下にしなければならないとする、新たな「5割ルール」が2023年10月にスタートする。新ルールは市場を冷やす要因になることが懸念されている。

「日本ネット経済新聞」ではこのほど、寄付額が多い自治体に向けてアンケート調査を実施した。調査の結果、アンケートに回答した20自治体のうち、8割に当たる16自治体が、「5割ルールは厳しい」と回答した。「寄付額を増やしたいが、人手が足りない」と感じている自治体が少なからずあることが分かった。寄付額を増やし、地域の活性化を図りたい自治体は、立ちはだかるさまざまな課題に立ち向かおうとしている。


「大変厳しい」も6割


「日本ネット経済新聞」がこのほど行ったふるさと納税に関するアンケート調査では、「主要な返礼品」「ふるさと納税の運営の課題」「寄付の多いポータルサイトはどこか」などの質問を設けた。

2021年度の寄付額が1〜100位までの自治体にアンケートを送付し、20の自治体から回答を得た。

アンケートでは10月から始まる新たな「5割ルール」について、「制度の見直しは大変厳しい」「制度の見直しは厳しい」「制度の見直しによる負担はなさそうだ」「分からない」から選んでもらった。

その結果、「大変厳しい」と回答したのが12件(60.0%)、「厳しい」が4件(20.0%)だった。合計すると、8割の自治体が「厳しい」と感じていることが分かった。



「大変厳しい」と回答した自治体からは、「単純事務の外部委託を増やして、地域のファン作りに力を入れたかったが、法規制により厳しくなった」(中部地方某市)「経費を削減できるところがほぼなく、返礼品の割合を減らすか、寄付額を上げる対応をとらざるを得ない状況だ」(九州地方某市)といった声が上がった。

これまでも、寄付金額のうち、返礼品の費用を3割以下とし、返礼品の送料や事務費、ポータルサイトへの広告費・手数料なども含んだ経費の総額を5割以下とするルールはあった。10月からは、ワンストップ特例事務費用や、寄付金の受領証の発行・送付の費用なども含め総経費を寄付金額の5割以下に収めなければならないとする、新たな「5割ルール」がスタートする。

対応方法としては主に、①寄付金額を引き上げる ②返礼品の調達にかかる費用や経費の割合を抑える――という2つのやり方がある。ただ、物販に置き換えれば、価格の値上げに相当するため、申し込み件数の減少につながることが懸念される。

寄付金額をそのままに、経費を抑える方法もあるが、「ポータルサイトによる広告費や手数料の値下げは期待できない」という自治体が多かった。ふるさと納税を支援する中間事業者は、3PLの利用などを提案し、物流費の抑制を図っているようだ。


「さとふる」と「楽天」が2強


「寄付の申し込みが最も多いポータルサイトはどこか」を問う質問では、「さとふる」と「楽天ふるさと納税」と回答する自治体が、それぞれ9件(45.0%)で同率だった。



2022年度の寄付額が全国で2位だった北海道紋別市からは、「『楽天』は買い回りやセールのタイミングなどを意識すると、寄付金額が大きく伸びる。『さとふる』は、通年で安定して寄付が見込める」といった声が聞かれた。


「人手不足」が課題


「ふるさと納税の運営における課題は何か」を問う質問では、「寄付額を増やしたい」が8件で最多だった。「ポータルサイトのページを充実させたい」が4件、「返礼品を増やしたい」が3件あった。



「人手が限られる」という回答も2件あった。具体的には、「予算と人手が限られる」(北陸地方某市)、「ページ充実や寄付者への情報発信を行いたいが、人手が限られる」(中部地方某市)といった声が聞かれた。

寄付額が伸びる中、さらに寄付額を増やすべく中間事業者に外注したいが、新たな「5割ルール」によって厳しさが増している─という実情が浮き彫りになった。

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