楽天市場などでコーヒーのECを展開する澤井珈琲の2023年3月期の通販売上高は、初の50億円超えとなった。同社は、コーヒーの原価高騰に対応すべく、2021年10月という早い段階から約20%の値上げを敢行。2022年に他社が値上げを繰り返す中、従来価格を維持できたことが、結果として売り上げの拡大につながったという。コーヒー通販という市場で、急成長を続ける同社の澤井理憲常務取締役に話を聞いた。
「停滞」か「成長」か
――成長を続ける秘訣は?
EC企業としては、月商3000万円が分岐点だと考えている。ここを境に、「成長するか」「停滞するか」に企業としての方向性が分かれてくる。
月商3000万円あれば、無理しなくても生活できるレベルになることが多い。個人の収入もそれなりになるだろう。だからこそ、「停滞」を選んでしまう企業も少なくない。
当社は長年ECをやってきた中で、いろんなEC企業を見てきた。そこで停滞してしまった企業は、今ではほとんど残っていない。
当社が意識しているのは、「成長し続けること」だ。今のままでいいと思ったことは、一度もない。
これまで得た利益は、8~9割を設備投資に回してきた。2024年4月には、新たに第4工場もできる予定だ。製造量も10~20%増えるだろう。
生産量が売上の限度
――設備投資にこだわる理由は?
当社では、1日10トンのコーヒー豆を焙煎し、20万個のドリップバックを作っている。小さな町の喫茶店から始まった当社だが、今では人の手でどうにかなる規模ではない。
だからこそ、どれだけ製造量を増やせるかが鍵だと考えている。
売り上げの上限値というのは、製造量の上限値とイコールだ。作れなければ、それ以上売ることはできない。だからこそ、設備投資を行い、自動化できる部分は自動化して、効率化を図ってきた。1日でどれだけ作れて、どれだけ出荷できるようになるか、そういった仕組みを作ることをいつも考えている。