2023.08.14

【ヤフーショッピング流通額減少の真相は?】畑中基執行役員「下期は『LYPプレミアム』で復調狙う」

ヤフー 畑中基執行役員


ヤフーが運営するECモール「ヤフーショッピング」は、依然として厳しい状況が続いている。本紙では以前、「ヤフーショッピング」の2023年3月度の流通総額が、前年同月比約30%減になったと報じた。その後も流通額は前年と同水準に回復していないという。ヤフーの畑中基執行役員は、「2023年6月度の流通額は前年同月と比べて下回っている。今後、流通額復調の鍵はLINE(ライン)とのID連携になる。LINEとヤフーとPayPayのグループを横断した『LYPプレミアム会員』への登録を促し、会員限定の販促などを強化し、立て直しを図る」と説明する。「ヤフーショッピング」流通額減少の原因や、現状の取り組み、今後の復調の鍵となる「LYPプレミアム会員」の詳細などについてまとめた。



「売れなくなった」の声


「モール統合後、ヤフーショッピングで売れなくなった」「一番の稼ぎ時である日曜日に売れなくなった」「ヤフーが何を考えているか分からない」など、昨年末ごろから「ヤフーショッピング」出店者の厳しい声を聞く機会が増えた。

ヤフーは昨年10月、「ヤフーショッピング」と「PayPayモール」を統合し、「新生ヤフーショッピング」として再始動した。そのタイミングで毎週日曜日にソフトバンクモバイル契約者に向けて実施していた「毎週日曜日は最大10%相当戻ってくる!」キャンペーンを終了した。

その代わりに新たに「毎日5%」キャンペーン(支払い条件、上限あり)を開始した。はユーザーが日曜だけでなく毎日、特典を得ることができるようになったが、還元率などの面でキャンペーンの魅力が低下したようだ。


流通額減は分かっていた


「ヤフーは今まで広告事業で稼いできて、その儲け分をコマース事業の販促費に充ててきた。だが、昨年の秋ぐらいから、米国の金利が上昇したりして、広告事業が伸びなくなった。そのため、コマース事業にも、販促費を割けなくなり、結果として『ヤフーショッピング』で販促を打ちたくても打てないという歯がゆい状況に陥った」(畑中基執行役員)と説明する。

さらに、「以前から今期の『ヤフーショッピング』の流通額が下がることは分かっていた。だが、戦略上の関係もあり、それを出店者に伝えることができなかった。出店者の皆さまには大変申し訳ないと思っている。今は、私が実際に出店者に伺って事態の説明と、これからどのように軌道修正するかを伝え回っている」(同)とも話す。

日曜日の高還元施策は撤廃したが、最近では平日に「PayPay支払いなら毎日5%」、さらに「5の付く日はポイント+4%」や、対象のショップで3000円以上の注文をすると最大10%割り引きで商品を購入できるキャンペーンを実施している。これらの施策を組み合わせることにより、購入者がなるべくお得になる企画を提供している。

「以前は日曜日の購入で10%ポイントが戻ってくる仕掛けだったが、今はソフトバンクモバイル契約者じゃなくても、平日に商品を購入しても、以前ほどではないが、比較的高いポイントを還元している。ポイント還元だけではなく、値引きなどのキャンペーン内容が多様化している」(同)と話す。

だが、未だ今年に入り、23年4―6月期の流通額は前年同期を下回っている。畑中執行役員は新たなキャンペーン内容が、きちんと顧客に伝わっていないことが関係していると課題を話す。

「当社の力不足だが、いつどのようなキャンペーンをやっているのが分かりにくいのが理由だろう。下半期からは、消費者が見ても出店者が見ても、キャンペーン内容を分かりやすくまとめて、毎日の組み合わせで、これだけお得になることをしっかりと伝えて、商品購入につなげていく」(同)と話す。

RECOMMEND合わせて読みたい

RELATED関連する記事

RANKING人気記事