2023.08.11

「送料無料」見直しを否定 消費者庁の会合で新経連がEC事業者の意見発表

消費者庁は8月10日、「送料無料」表示の見直しに関する意見交換会を開催した。第3回となる今回の意見交換会では、(一社)新経済連盟が参加。「送料無料」表示の見直しに関して、EC事業者側の意見を述べた。新経済連盟事務局政策部の片岡康子氏は、「送料無料表示は、企業努力の結果。売り上げや顧客満足にもつながっており、置き換えは困難」と、送料無料表示の見直しに関して、否定的な意見を述べた。

片岡氏は主にEC事業者の話を聞いた上で、「ECにとって配送は不可欠。過去にも宅配便の値上げはあり、EC事業者は対応してきた」と発表。「現在の送料無料表示があるのは、企業努力の結果だ」(同)と話しており、送料無料の表示の見直しについて否定的な意見を述べた。


送料無料は物流コストの削減も


片岡氏は、送料無料の表示が売り上げや顧客満足度、物流コストの削減にも寄与していると主張。「例えば、『〇〇円以上の購入で送料無料』とあれば、〇〇円まで購入しようとする顧客が増える。企業の売り上げの拡大につながるだけでなく、まとめて購入してもらうことにより、発送回数が減り、物流コストの削減にもつながるはずだ」と述べた。


「送料無料」の置き換えは困難


片岡氏は、「送料無料」表示の置き換えが、現実的に困難だとしており、2点の理由を挙げた。置き換え表示の例として、①「送料別」と表示した上で、実費を請求する ②「送料込」と表示する――の2パターンを想定。「『送料別』と表示した上で、実費を請求する」パターンについては「購入時に正確な実費が把握できない」と問題点を指摘した。「『送料込』と表示する」パターンについても、『〇〇円以上で送料無料』の場合などは、意味が通じにくいのではないか」と指摘した。

「EC事業者が配送キャリアに支払う運賃実費は、配送地域や大きさ、注文個数によって価格が異なるのが基本であるため、ECで注文を確定するタイミングで、実費を確定させるのは難しい」とも説明。「消費者は送料に敏感だ。購入時に送料がいくらか分からないのでは、購入の回避や、顧客満足度の低下につながる可能性が高い」(同)と話した。


問題解決につながらない


片岡氏は、「送料無料表示をやめることで、そもそも何を解決できるのか」とも主張した。

「そもそも『送料無料』というのは、消費者とEC事業者間との話。EC事業者から配送事業者への運賃は、適正に支払われている。にもかかわらず、『送料無料』表示をやめろというのは、腑に落ちない」(同)とも主張した。

「送料無料」を廃止して、物流業界への意識を変えたいという意見に関しては、「『物流を軽んじている』と思われるのであれば、より物流の担い手が感謝されたり、重要視されたりする仕組みを作るべきではないか」(同)と話していた。







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