2023.06.21

【マルチチャネル時代に必須】「顧客対応DX」の極意とは?4000社超導入の「Re:lation」和田CEOに聞く

インゲージ 和田哲也CEO


「コミュニケーションと働き方の多様化はこれからも進む。この2つの課題に対応できるかが、EC企業の今後の成長を左右する」――こう力説するのが、顧客対応クラウド「Re:lation(リレーション)」を提供するインゲージの和田哲也CEOだ。「Re:lation」は顧客対応の課題が噴出したコロナ禍を経て、加速度的に導入社数が増加し、2022年10月には導入社数が4000社を突破した。導入企業の多くはEC企業が占めている。和田CEOは多くのEC企業の顧客対応の状況を分析する中で、「コミュニケーションの多様化」と「働き方の多様化」という課題がEC企業に突き付けられているという。その課題を解決するために「Re:lation」を開発し、サービスに磨きをかけている。和田CEOに「EC企業の顧客対応の課題」「顧客対応DXの極意」「今後の顧客対応」について聞いた。



増え続ける「コミュニケーション手段」に対応


――コミュニケーションの多様化とは?

コミュニケーション手段はますます増えてきています。インターネットが登場する前は、直接話したり、手紙を送ったり、電話したりするくらいしかありませんでした。

インターネットの登場でメールが出てきて、チャットやLINEのようなメッセンジャー、さらにはSNSでもコミュニケーションが取れるようになりました。

10年前に「Instagramでコミュニケーションを取っている」という人はほとんどいなかったと思います。でも今では若い方にとってInstagramのコミュニケーションは当たり前になっています。


▲SNSでのコミュニケーションも当たり前になった

これは「コミュニケーションの手段が変わっている」というよりは、「コミュニケーションの手段が増えてきている」という方が正しいと思います。というのもLINEやSNSでのコミュニケーションが増えてきた現在でも、メールや電話も使いますし、DMなどの郵便物も届きます。

コミュニケーションの中心的な手段は移り変わっているかもしれませんが、他の手段を使わないというわけではありません。特にビジネスシーンではより顕著だと思います。

友だち同士でメールする機会はほとんどなくなったかもしれませんが、企業や店舗への問い合わせでは、やはり今でもメールで連絡することが一番多いと思います。

これから5年後、10年後どうなっていくのか。これは過去を見ると明らかですよね。これだけ新しい手段が出てきているのに、5年後、10年後に新しい手段が出てこないということはないと思います。今後もコミュニケーションは多様化し続けていくと思います。

コミュニケーションの多様化に応じて、企業や店舗は顧客対応の窓口を増やしていく必要があります。実店舗のように対面で気軽に問い合わせできるのではなく、何らかの手段で問い合わせる必要があるECは、なおさらそうだと思います。

――かつては顧客対応の窓口をあえて分かりづらくしているECサイトもあった。

カスタマーサポート部門はかつて、顧客対応がお金を生み出さない「コストセンター」と思われており、問い合わせ件数を減らすために、「問い合わせ窓口は限られていていい」「連絡先はあえて分かりづらくする」という企業もありました。

しかし、今ではそのようなことをする企業はほとんどなくなりました。「カスタマーサクセス」という言葉が広まっているように、お客さまに成功体験を提供することが、ビジネスを向上させるためにとても重要だと認知されています。

お客さまに「このお店で買って良かった」と感じてもらうためには、やはり接客が最も重要です。もちろん商品やサービスも良くなかったらダメだと思います。ただ、これだけ物があふれている現代において、「うちの商品・サービスだけが優れています」なんてことはほとんどありません。商品・サービスの良さに加えて、接客をしっかりやらなければ、お客さまは満足しません。

実店舗が接客に注力するのは当たり前になっています。ECで接客というと「問い合わせ対応」になりますが、まだまだ本気で取り組まれていない企業も多いと思います。お客さまが聞きたいと思ったタイミングに、お客様の望む手段で「問い合わせ対応」できることが、接客の品質を上げるために重要になります。

――「問い合わせ対応」の手段を増やす上での課題は?

「問い合わせ対応」の手段を広げるというのは、言葉では簡単そうに聞こえますが、実際はとても大変です。メールに加えて、LINEやSNS、チャットと手段を増やせば、スタッフはそれぞれのシステムに入り、問い合わせ内容を確認して、返信しなければなりません。

ECサイトの店舗自体の多チャネル化も進んでいますので、「楽天市場」なら「RMS」、「Yahoo !ショッピング」なら「ストアクリエイターPro」といった管理システムに入り、対応する必要があります。

たくさんのシステムに入り、それぞれの違うやり方を覚えて対応していくのは至難の業です。しかも、売り上げが伸びれば伸びるほど、問い合わせも増えていきます。問い合わせ件数は段階的に増えていくのではなく、加速度的に増えます。

このように多様化、煩雑化している顧客対応の課題を解決するために開発したのが、「Re:lation」です。1つの画面でメールもLINEもチャットもSNSからの問い合わせにも対応できます。もちろん電話も「Re:lation」上で受電・架電が可能です。さらに、通話内容は自動的に文字起こしされて記録することができます。



複数のチャネルで問い合わせをしてくるお客さまもいます。「Re:lation」では、チャネルを横断して顧客対応の履歴を管理できるので、過去にメールやLINEで問い合わせてきたお客さまからの電話に、その内容を把握した上で対応することができます。

――チャネルを横断して顧客対応することは重要?

メールでやり取りをしていたお客さまからかかってきた電話で、また一から問い合わせ内容を説明していただこうとすると、お客さまがお怒りになる可能性があります。過去のやり取りを把握した上で接客することでその対応品質は変わると思います。

「Re:lation」では購買履歴も確認できるので、何度もお買い物していただいているお客さまには、「いつもありがとうございます」と伝えることができます。逆に初めて問い合わせてきたお客さまに「いつもありがとうございます」と言うと、信用を損なう恐れがあります。


▲ECサイト経由の問い合わせもまとめて管理できる

チャネルを横断した対応履歴を把握したり、購買履歴を参照しながら対応することで、お客さま一人ひとりに向き合った接客ができるようになります。

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