――「ブランド商品の拡充」について詳しく教えてほしい。ブランド商品が「楽天市場」を中心に楽天グループのECで展開されるようになってきた。この流通の伸び幅がものすごく大きい。コスメやスポーツのカテゴリーが分かりやすい。
コスメで具体的に言うとロレアルやSKⅡ、P&G、花王、資生堂などのブランドの出品が進んでいる。スポーツ関連だとアディダスやナイキなど大手ブランドがより買いやすい状況になっている。
「楽天市場」というと昔からユニークな商品がたくさんある点が魅力だったが、それに加えて、ここ数年で有名ブランドが直接、出店していただいたり、大手小売店を通じて、ブランド商品をより多く出品されたりするようになってきた。
――ブランドとの直取引が増えているのか?自社でリテールに取り組むブランドやメーカーは、ECのノウハウを持っているので、自分のリソースで「楽天市場」に出店いただくケースが多い。ブランドやメーカーで自社ECを展開していないところは、ECのオペレーションのノウハウがないため、当社と直取引していただくか、運営代行企業のサポートを受けて出店していただくケースがある。必ずしもオペレーションの全てを当社が取り込むという考えはなく、ケースバイケースで外部のパートナーを紹介するケースもある。いずれにせよブランドやメーカーが自社にノウハウやリソースがないからといって「楽天市場」で販売できないという事態は避けたいと考えている。
――2022年12月に「楽天市場」のO2O店舗「Kulture Market(カルチャーマーケット) Supported by Rakuten」を開設したが、2023年もリアル店舗展開を加速するのか?リアルとの関わり合いは今後、大きなテーマの1つになってくると思っている。ただ、やり方は多様なので、必ずしも全部自分たちでやらなければいけないとは思っていない。出店店舗の中には、リテーラーとして大きな店舗もたくさんあり、そういう企業とは一部だが、既にお互いに送客する仕組みを入れて、取り組みをスタートしている。
セグメントや目的によっては、自分たちでリアル展開に取り組むケースも出てくる。どちらかだけという話ではなく、柔軟に多様なやり方を駆使しながら、全体としてはリアルとの接点を増やしていかないといけないと思っている。
――出店者向けの支援策で今後、強化するポイントは?2023年はさらに店舗とのコミュニケーションを活性化していきたい。2022年後半からタウンミーティングなどで店舗とのコミュニケーションを増やしていたが、2023年もより一段と増やしていくつもりだ。
他にもRMS(店舗運営システム)を含めた改善施策が、いくつか控えている。詳細は新春カンファレンスでお話しできると思う。大事なのは店舗に改善の意図や使い方をご理解いただき、効果を出していくことだと思っている。コミュニケーションを深めることで、新たな機能の概要だけではなく、そのコンセプトをしっかりと浸透させ、目的も理解してもらい、使っていただけるようにしたいと思う。