最適化至上主義から脱却
ーーアフターコロナの化粧品EC市場において、どういった戦略をとるか?
これまで実施してきた、いわゆる「単品リピート通販」の最適化至上主義から脱却し、ブランディングも重視したいと考えている。
私が社長に就任して以来、「当社のブランドの認知が低いのはなぜか」について会社全体で考えてきた。CVやCTR、CPAといった数値を見て、A/Bテストで最適化し、反応を見て販売戦略を考えるという、これまでの通販・ECのやり方も原因なのではないかと考えた。こうしたやり方は、効率的に売り上げが伸びていくかもしれないが、メーカーが目指すポリシーを表現しづらいという側面がある。
当社には、「敏感肌をケアすることが本質的なスキンケアにつながる」という大前提のポリシーがある。「敏感肌」とは、特殊な体質のことではなく、誰にでも起こりうる肌状態のことを指している。それを伝えていくのが、われわれのやりたいことだと考えている。
昨年、主力ブランドを「ディセンシア」としてリニューアルした際には、われわれがやりたいことを詰め込んだブランドにしたいと考えた。
現在は、「われわれが目指したいブランディング」と、「EC・通販ビジネスの優位性を生かして新規獲得を図る従来の方法」を、バランスよく実施している。
ブランディングを優先すると、これまで通りに新規のお客さまを獲得するのは難しいかもしれない。
ただ、ブランディングを優先しなかったとしても、市況変化で新規獲得が厳しい状況になっていることは間違いない。新規客の数だけを重視するのではない。長く使い続けてくれる可能性がある人にこそ、振り向いてもらいたい。そうした人たちに、高いロイヤルティーを感じていただけるブランドになっていくために、「当社が伝えたい思い」を形にしていきたい。