2023.06.12

在庫分析クラウドのフルカイテン、8億円を調達 実績がない新商品の需要予測機能を提供

事業成長に向けた歩みを表現する瀬川(左から1人目)ほかフルカイテンの面々

既存在庫での売上・粗利・キャッシュフローの最大化を支援する在庫分析クラウド「FULL KAITEN」を展開するフルカイテンはこのほど、ジャフコグループが運用する投資事業有限責任組合をリードインベスターとして、三菱UFJキャピタル、FFGベンチャービジネスパートナーズ、Spiral Innovation Partners LLP、SMBCベンチャーキャピタル、山口キャピタル、宮銀ベンチャーキャピタルを引受先とする第三者割当増資と、あおぞら企業投資が運用する投資事業有限責任組合を引受先とする新株予約権付社債の発行によって、8億円の資金調達を実施した。今後は「FULL KAITEN」上に蓄積した顧客の実売データを元にした新商品の需要予測機能のリリースを計画しており、今回の資金をもとに事業拡大を加速させるべく、採用などを進めていくとしている。

フルカイテンは、在庫効率を向上させるための在庫分析クラウド「FULL KAITEN」を提供している。在庫効率を向上させ売上・粗利・キャッシュフローを増加させるのに有効な、「プロパー消化率を向上させる、不要な値引きを抑制する、売れる商品を売れる場所に移動する」などの機能を提供する。



フルカイテンは、「FULL KAITEN」の開発・提供を通じて「世界の大量廃棄問題を解決する」というミッションを実現するため、2025年12月期を最終年度とした5カ年計画を立てている。初年度に当たる2021年は、機能を大きく刷新した「FULL KAITEN」バージョン3.0をリリース。その後、小売の現場から要望の多かった新機能を順次実装するなど機能改良を続けており、「小売の在庫効率を上げる在庫分析クラウド」という事業として完成度を上げた1年だった。続く2022年は、「FULL KAITEN」を導入する小売企業を大きく延ばすことで、「在庫分析ツール」の市場でのシェアを拡大した。


▲「FULL KAITEN」は大きく成長

2023年からは、世界の大量廃棄問題の解決に向けた第2のフェーズに入り、「FULL KAITEN」を導入する顧客の実売データを活かした新商品の需要予測を事業化するために研究を重ねている。この新事業により、サプライチェーンの川下に位置する小売だけでなく、川中(卸売、商社、メーカー)へ遡って余剰在庫の問題を解決できるよう、サプライチェーンの川下と川中に散在する販売・生産・在庫に関するデータを集約するためのプロダクト開発を本格化するとしている。本当に必要な在庫量を需要予測することで、必要な在庫が必要な量だけ生産され、流通する、サプライチェーンへの変革を実現する。

この目標のためこのほど、プロダクト開発と採用強化に向けた投資の原資として、ジャフコグループが運用する投資事業有限責任組合をリードインベスターとして、三菱UFJキャピタル、FFGベンチャービジネスパートナーズ、Spiral Innovation Partners LLP、SMBCベンチャーキャピタル、山口キャピタル、宮銀ベンチャーキャピタルを引受先とする第三者割当増資と、あおぞら企業投資が運用する投資事業有限責任組合を引受先とする新株予約権付社債の発行によって、8億円の資金調達を実施した。なお、引き続き資金調達を行っており、最終的な資金調達額は10億円を超える見込みとしている。

今回の資金調達にあたり、フルカイテンの代表取締役CEO 瀬川直寛氏は、資金調達環境が厳しい時代において、「『世界の大量廃棄問題を解決する』というミッションの実現に向け、これだけの投資家の皆様からご支援を賜ることができました。資金調達環境が非常に厳しい時代ですので、もはや感謝の一言以外浮かばないほど大きな大きな出来事となりました」と話した。


▲瀬川直寛CEO

在庫は、値引きを抑えて販売できるなら利益を生み出す宝になるが、それは言葉で言うほど簡単なものではなく、また筋の良い解決策もあまり考案されていないため、顕在化しているのに諦められた課題であったとし、「私たちフルカイテンはこの難しい問題を解決し、企業の経営を粗利体質に変革するお手伝いをすることで成長してきました。そして今回、販売実績がない新商品の需要予測を可能とする新たな技術開発にも成功しました。この技術があれば、「生産量の適正化」から「値引きを抑えた販売」まで、サプライチェーン全体をカバーするソリューションに進化できます。そしてその先には、サプライチェーン上を必要な商品が必要な量だけ流通する社会、大量生産が抑制され大量廃棄が解決に向かう世界が待っています。今回の資金をこの夢の実現のために責任を持って使っていきたいと思います」とコメントした。

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