2023.05.17

「eBay」、2023年第1四半期の越境ECトレンドを公開 デジタルカメラが躍進

成長率TOP3(前年同期比)


2023年第1四半期に日本から売れ筋となった、または注目された商品について、イーベイ・ジャパンの各カテゴリー担当者が「カテゴリー別売れ筋・注目商品トップ3」としてピックアップした。


<自動車パーツ・カメラ・楽器カテゴリー>




■自動車パーツカテゴリー

・イーベイ・ジャパン カテゴリーマネージメント部 カテゴリーマネージャー 古谷まゆみ氏

自動車パーツカテゴリーは、eBayグローバルで最も大きな取引高を誇りますが、日本からの販売においても前年同期比+46%で伸び率2位と、かつてない拡大スピードを見せています。新品中古問わず日本のクラシックスポーツカーの部品の需要は引き続き高く維持されている状況ですが、昨今見られる面白い傾向が、日本からアメリカに向けて軽トラックのタイヤが非常によく売れていることです。日本の軽トラはアメリカのトラックと違い小回りが利き、燃費が良く、中古であっても状態が良いことからブームとなっており、「Kei truck(ケイトラック)」とそのまま表現され注目を集めています。

今回ピックアップしたヨコハマタイヤの「GEOLANDAR KT」は、その名の通りKT(軽トラック)をターゲット車両として作られた12インチのタイヤであり、「eBay」でも海外からの高い人気が見受けられました。同じくトーヨータイヤの「オープンカントリーシリーズ」の軽トラ用タイヤなども、日本の著名メーカーのブランド力も相まって引き続き高い需要が期待されている商材です。


■カメラカテゴリー
・イーベイ・ジャパン カテゴリーマネージメント部 カテゴリーマネージャー 古谷まゆみ氏

世界各国でコロナ禍から人々の生活が回復し外出や旅行の機会が増える中、カメラ商材の需要はコロナ前に比べ顕著に伸び続けています。中でもデジタルカメラは、2022年の年間売上総額の前年比が+51%と好調だったところ、今回2023年第1四半期でも前年同期比+62%と全カテゴリーで成長率1位の結果となりました。

日本国内で品薄で入荷未定となっているような商品は海外でも非常に需要が高く、例えば性能とビジュアル共に幅広い世代に人気の「富士フイルム Ⅹ100V」に至っては、「eBay」上でも国内販売価格の1.5倍の価格で盛んに取引されていました。富士フイルムの製品は国内の相場とアメリカでの相場に大きなギャップがある傾向が強く、越境ECとの親和性が高いと感じるセラーが多いようです。また、デジタルカメラに関してはメニュー画面の言語選択機能が必須と考えられており、多言語対応しているメーカーの製品が特に注目されている状況です。


■楽器カテゴリー
・イーベイ・ジャパン カテゴリーマネージメント部 カテゴリーマネージャー 水田啓太氏

コロナ禍のため“巣ごもり”を余儀なくされたユーザーの多くが、空いた時間を趣味などの時間に充てました。演奏を楽しみたいと考えたユーザーは、手軽に弾けそうなギターや音楽プレイヤー、インテリアとしても人気なDJ機器などを「eBay」上で購入し始め、楽器カテゴリーの売れ行きが継続的に高水準にあるようです。

楽器カテゴリーの特徴としては、高額な商品が売れるということが挙げられます。ギターでは有名アーティストのシグネチャーモデルが特に高額で取引されており、例として「1959レス・ポール レプリカ S/N 9-306X」は約2万ドルで取引されました。音楽市場においては日本より大きなマーケットを保持している米国。誰もが「DJ機材」や「ヴィンテージギター」を欲しているわけではないものの、人口が3億人を超える大きなマーケットではそれなりのニーズになるようです。


<ファッションカテゴリー>
・イーベイ・ジャパン カテゴリーマネージメント部 カテゴリーマネージャー 北村直樹氏




■時計

2023年の年明けに円安が若干落ち着きを見せた関係で、ファッションカテゴリー全体の伸びも鈍化しました。しかし、高級時計カテゴリーでは、ロレックスをはじめとした100万円を超えるハイエンド時計が、日本のセラーから100本以上販売されるなど引き続き好調を維持しています。


■ジュエリー

アメリカでは人々の外出が通常に戻ることで、外出時に身に着けるジュエリー需要が高まりました。特にヴァンクリーフ&アーペルなど高級宝飾品が求められることで、「eBay」ではファインジュエリーカテゴリーが前年同期比36%超と大きく伸びる結果となりました。


■スニーカー

昨今のスニーカー市場の熱狂は未だ衰えを見せず、「eBay」でもスニーカーを擁するMen’sカテゴリーが2桁の成長を見せています。特に東京・渋谷にアメリカ以外ではミラノに次ぐ2店目となる旗艦店(World of Flight Tokyo Shibuya)をオープンしたナイキの「ジョーダンブランド」の勢いは目を見張るものがあり、「eBay」の販売ランキングでも上位を独占しています。


<コレクティブルズカテゴリー>
・イーベイ・ジャパン カテゴリーマネージメント部 カテゴリーマネージャー 市田良介氏



2022年の歴史的な円安の影響もあり、比較的販売しやすい「アニメグッズ」「トレカ」「ビデオゲーム」カテゴリーのセラー数が伸びたことで、出品点数が増加し売上も伸長しました。さらに3月には6年ぶりにWBCが開催され、日本代表選手のグッズやトレカなども盛り上がりを見せました。その中でも世界的なスーパースターである大谷翔平選手のグッズの人気が高く、大きく売上を伸ばしました。


■アニメ

「ポケモン」「サンリオ」「ドラゴンボール」「セーラームーン」「チェンソーマン」「ジョジョの奇妙な冒険」「ONE PIECE」「鬼滅の刃」「新世紀エヴァンゲリオン」など、多くの日本の作品が「eBay」上の検索ワード上位を占めており、需要と関心が高いのが分かります。トレンド性が強いカテゴリーではありますが、eBayでは昔のアニメから最新のアニメまで幅広く売れており、以前までは出品されていなかった大きなぬいぐるみやフィギュアも販売されました。

さらに、「ドラゴンボール」の第1話が掲載された「少年ジャンプ」や希少価値の高い原画などのレアな商材も販売されました。ほか、1番くじの限定フィギュアや「聖闘士星矢」「ドラゴンボール」「新世紀エヴァンゲリオン」といったフィギュアのセット販売も好調でした。


■トレーディングカード

トレカでは引き続き「ポケモンカード」の売上が大半を占めており、2023年第1四半期から新シリーズのトレカが発売された影響もあって好調を維持しました。「eBayスマホアプリ」で実装した画像スキャン機能の効果もあり、個人セラーのトレカ売上が上昇しました。さらに、販売しやすい価格帯である20ドル未満商品の売上が前年同期比で約30%上昇しました。今年の8月には「ポケモンワールドチャンピオンシップス2023」の開催があり、ポケモンへの注目度がさらに上がり、トレカにおいても伸長すると予測しています。
また、「ポケモンカード」や「遊戯王」などの対戦型のトレカだけではなく、スポーツトレカも好調を維持しています。WBCの影響もあり、大谷翔平選手が封入されたカードボックスや有名海外サッカー選手やバスケットボール選手の高額カードも多く販売されました。


■ゲーム

ビデオゲーム本体、ソフトどちらもの売上が伸び続けています。ゲーム機本体では、変わらずポータブル系の「ニンテンドー 3DS」「PlayStation Vita」「ゲームボーイ」が伸長。ゲーム機本体単体だけではなく、バルク販売やセット販売も目立ちました。
ソフトは、新作ではなく過去作の検索数が非常に多く、それに比例して日本からも中古の過去作が大きく成長しています。ポケモンは新作の「ポケットモンスター スカーレット・バイオレット」が出たことで、過去作の売上が上昇したほか、「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」は続編の予約販売が開始されたことで注目度も上がり、大きく伸長しました。


<今後の予測>
・イーベイ・ジャパン カテゴリーマネージメント部 部長 北村直樹氏

2022年第4四半期に起きた急激な円安傾向が2023年になり落ち着きを取り戻したことで、アメリカをはじめとした世界のバイヤーの消費傾向に変化が見え始めました。その影響が日本市場にも押し寄せたため、各カテゴリーの伸び率は前期と大きく異なるものとなりました。

中でも「eBay」の最大カテゴリーである「自動車パーツ」は、日本でも強い上昇が見られ、今後の更なる拡大を期待できるカテゴリーとなっています。また日本特有のトレーディングカード、アニメグッズ、ゲームなどは世界での人気に拍車がかかっており、今後も日本の売上の中心的存在になると予想されます。

2023年第2四半期以降は、今後の為替の動向にも左右され、また日本の水際対策の緩和によるインバウンド需要の動向にも影響を受けることになると思いますが、世界がグローバル化する流れは長期的に見ると越境ECにとってもよりプラスになるのではと予測しています。




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