2023.02.14

【ECモール 2023年の展望】『RoomClipショッピング』石川森生EC事業部長「コンテンツ再編集でコマース強化へ」

【ECソリューションマップ2023「モール&プラットフォーム編」】


家具や家電、インテリアなどの住生活に関する写真の投稿や閲覧ができるプラットフォ―ム「RoomClip」を運営するルームクリップでは、2021年3月から運営するECモール「RoomClipショッピング」のさらなる強化に取り組んでいる。同社が持つ500万枚の写真データを活用したコンテンツの再編集がコマース強化のポイントになるとしている。具体的な施策について、石川森生事業部長に聞いた。



――2022年を振り返って。

着々と準備を進めてきた一年でした。やるべき方向性が見え、「RoomClipショッピング」というEC事業に必要な要素がクリアになってきました。「RoomClip」のユーザーが生み出す情報のユニークネスとコミュニティーとしての熱量をどのようにECにつなげていくかがポイントでした。これまでの経験から、コミュニティーとコマースの間には想像以上に壁があり、ユーザーがいかに自然にその壁を越えるようにできるかについて改めて考慮していく必要があることが分かりました。

当初、「RoomClip」でユーザーが持つ悩みを解決する情報が見つかれば、必要な商品がすぐに購入できる「RoomClipショッピング」でコンバージョンが一定数あるだろうと期待していました。しかし、ユーザーが情報を習得することと商品を購入することは、「ギア」を入れ替えるような体験が必要だと実感しました。つまり、暮らしのアイデアがほしいユーザーが情報を探している状態のギアから、商品を購入できるギアに切り替える体験をこちらで提供する必要があるということです。

住空間の悩みを解決するための情報とそれを実現するための商品をバラバラに置いておくだけでは不十分で、顧客体験が分断されないようにするための修正をしている最中です。この修正がうまくいくと、情報の収集と商品の購入というアクションが一つの体験として同時に発生すると考えています。

――具体的な施策は?

当社の強みは、住生活の工夫に関する写真データ量とコミュニティーです。写真データに安易にリンクを貼るだけでなく、きちんとした「売り場」を用意していきます。つまりECとして認知されるために必要なUI/UXを検証し、ひとつの「売り場」にしていくことで、「RoomClip」は情報収集だけでなく、購入もできるサイトなのだという認知を広げていきます。

私自身は、総合通販企業のディノスに携わりながら、家具ブランド「KANADEMONO(カナデモノ)」を運営するbydesign(バイデザイン)の社長も務めています。ディノスとカナデモノに共通することとして、お客さまがコンテンツ閲覧に時間を使う中で購入が生まれるビジネスモデルであることが挙げられます。両者で培った経験やノウハウを「RoomClip」にも活用し、コンテンツが商品の購入を生むきっかけとなるような設計をしていくことが重要となります。つまり、売れるコンテンツを作っていくことが今後のポイントになります。

「RoomClip」はユーザー自らが発信している「空間コンテンツ」が500万枚の写真として存在します。写真を紹介するページなどのUIをドラスティックに修正していくことで、商品にもしっかりとフォーカスされるような構造を目指していきます。

――2023年の取り組みは?

今年は、「RoomClip」の「空間コンテンツ」を「商品コンテンツ」に再編集する取り組みを続けて、ショッピング事業をさらに成長させていきます。再編集のポイントは「時間を消費する理由」から「商品を購入する理由」までを一気通貫してコンテンツで生み出せるかどうかです。

コンテンツに直接ひもづく商品が売れることがベストですが、まずは両者の間にある「ギアの切り替え」をシームレスに行えるような顧客体験を提供していきます。購買心理は不思議なもので、ECリテラシーが高い人は計画購入が多いと思いがちですが、実はそれは一部のユーザーにしか当てはまりません。セールのタイミングを見計らってショップに行き、目的のアイテムを探している最中に、別のものが気になって、当初と違う商品を購入してしまうということもひんぱんに発生しています。

こうした現象が多く見られる理由の一つに、コンテンツの存在があります。優良なコンテンツの存在は、買い物の楽しさというエンターテインメント性につながります。「RoomClipショッピング」では情報コンテンツのEC体験への最適化でサイトの滞在時間を長くし、最終的に購買につながるサイクルを生み出していくつもりです。

住生活に関する悩みや課題は、十人十色であり、必要なソリューションもそれぞれ異なります。一般的な企業では個別のニーズに対する適切なコンテンツを準備することは難しいのが現状です。ですが、「RoomClip」は一人一人のニーズに近い住生活の写真や情報が、UGCとして日々発生しています。この大きな強みを活用してコマース領域をさらに強くしていきます。





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