2022.01.28

【<徹底解明>ネット転売の光と影】第1回 年始に「福袋」の高価転売が横行


福袋に見る転売の功罪


年末年始商戦の主役である福袋は、フリマアプリでの転売が持つ多面性を改めて浮き彫りにした。

価格面でのお得さを訴求する意味合いが強い福袋は、購入後開封するまで中身の商品が確認できないものが多い。こうした背景もあり、目当ての商品とともに意図せず入手した不要な商品の販売窓口としてフリマアプリは機能している。

一方、希少性の高い特定の福袋そのものが「完品」として定価以上の価格で出品されているケースも多く見られる。

大手コーヒーショップ「スターバックス」を運営するスターバックスコーヒージャパンは、毎年年始の時期に合わせて福袋を販売している。店舗で使用できるドリンクチケットやロゴをあしらったトートバッグ、福袋限定のタンブラーなど各種グッズを詰め合わせたものだ。

価格は7500円(税・送料込み)。ブランドへの強い支持やコストパフォーマンスの高さもあり、例年ユーザーの間で争奪戦が起こる人気の福袋となっている。2021年からは店舗での販売を休止し、オンライン窓口で抽選による販売を実施している。

抽選や決済スケジュールの早期化、1アカウントに対する販売個数を1点に絞るなど、熱心なユーザーに対して、商品が広く行き渡るよう販売手法の整備も続けている。

こうした取り組みを行いながらも、当選ユーザーに配送された1月1日以降に、福袋は各フリマアプリに多く並び立つ格好となっている。その中には、1万円超など定価を大きく上回る価格で「完品」の状態で出品されているケースも散見された。


▲フリマアプリでは定価を上回る福袋の出品が相次いだ

スターバックスコーヒージャパンは高額での転売行為について言及は控えているものの、商品や販売手法については「(ユーザーに)より良い体験をお届けするために模索している状況」(広報)と話す。

このように、販売事業者にとって転売と転売を目的とした購入は、人気商品を販売する上での前提条件にもなりつつある。転売の是非についてはさまざまな捉え方があるが、事業者が本来不必要であった対応や制限を求められていることに間違いはないだろう。

連載の2回目からは、問題意識や増大する社会的責任を受けての各プラットフォームによる取り組みや、消費者保護に向けた法規制の動きについて取り上げる。



第2回「年始に『福袋』の高価転売が横行」▶▶
https://netkeizai.com/articles/detail/5632








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