個人セラーも台頭
――他にも新しい動きはあったか?
個人のセラーが伸びた。国内でもCtoCのプラットフォームはあるが、越境ECにもその波が来たのかなと感じている。越境ECというと大手企業が中心というイメージが強いと思う。
ただ、直近のセラーの動きを見ていると、個人がものすごく伸ばしている。専門知識がない方や地方の方も、自宅にいながら越境ECに取り組むことができると分かってきた。「eBay」のアクティブバイヤーはグローバルで1億8300万人いる。「eBay」で販売すると、購入者の国や地域の多様であることに驚くと思う。米国はもちろん、アラブ諸国やロシア、アジアからも注文が舞い込む。海外に向けて販売した方が価格決定メカニズムは機能し、高値で売れる可能性がある。
――2020年の取引実績は?
細かい数字はまだ言えないが、2020年のホリデーは違うと言える。クリスマス商戦もこれまでは12月中旬には落ち込んでいたが、今回は失速しなかった。クーリエによる配送でリードタイムが短縮されている影響だろう。クリスマス後にも期待している。クリスチャンの国では多くのセラーが休暇に入るが、日本やアジアのセラーは売り続ける傾向にあり、独壇場といえる。さらに日本ではお年玉商戦もあるため、新製品が新年以降まで出てくる。ポストクリスマスの動きも注目している。
――国内のセラー向けの取り組みは?
セラーポータルというセラー向けのポータルサイトの機能や情報を強化している。「eBay」では新規セラーの出品数に制限を設けており、その制限は販売実績に応じて上げることができるのだが、日本のセラーは信頼性が高いこともあり、出品数の制限を早く上げることができる機能をセラーポータルに実装している。翻訳機能など出品業務をサポートする機能もある。
コンサルタントなどセラーの業務をサポートするパートナーのエコシステムも強化している。オークファンと開始した「eBay越境ECセラー育成支援サービス」もその一環だ。個人や個人事業主の教育やサポートを拡充した。やはり基本を勉強した方の方が、長く続けられる可能性は高まる。途中で諦めてしまうセラーを減らしたい。