2024.05.21

「YouTube」、ショッピング機能で「BASE」と連携 日本での動画コマース促進策を聞いた

YouTube ショッピング パートナーシップ マネージャーの仲田真人氏に聞いた

Googleは動画配信サービス「YouTube」のショッピング機能「YouTube ショッピング」の国内における利用促進を図る。2022年7月に実施したコマースプラットフォーム「Shopify」との連携に続き、5月21日にネットショップ作成サービス「BASE」と連携すると発表した。日本発のECサイト構築サービスと連携するのは初めて。連携先を広げることで、国内のEC事業者や動画配信者(クリエイター)などが、「YouTube」を通した動画コマースを始めやすい環境を整える。

今回の連携により、「YouTube」のアカウントを保有し、「YouTube ショッピング」の資格要件を満たしているEC事業者やクリエイターは、「BASE」を使って作成したネットストアを「YouTube」にリンクできるようになった。


▲日本発のECサイト構築サービスとして初めて「BASE」と連携

ストアをリンクしている事業者は、ストアの商品を「YouTube」のチャンネルのさまざまなところに掲載できる。アーカイブしている動画やライブ配信している動画内に商品をタグ付けすることも可能だ。「BASE」のリアルタイムで在庫確認ができる機能を利用すれば、在庫切れになる心配もないという。


「ショート動画売れ」も期待できる


「YouTube ショッピング」を活用する事業者は、自身のチャンネル内の動画配信ページの動画の下に商品欄を配置し、選択した商品リストを表示することもできる。チャンネル内に「ストアタブ」を追加し、「YouTube」内でECサイトのように商品を表示することも可能だ。


▲「YouTube ショッピング」機能の利用イメージ

YouTube ショッピング パートナーシップ マネージャーの仲田真人氏は、「ユーザーは動画やライブ配信を視聴中にタブをクリックすると、動画を見続けたまま商品を購入できる。動画やライブ配信だけではなく、縦型のショート動画『YouTube ショート』にも対応している。いわゆる『ショート動画売れ』も期待できる」と話す。


「YouTube ショッピング」の機能が進化


「Shopify」との連携を開始した2022年当時よりも「YouTube ショッピング」で提供できる機能は拡張している。

タグ付けした商品にタイムスタンプを追加し、特定の商品に適切なタイミングで注目させることを可能にした。これは多くのクリエイターから要望があった機能だという。

さらに一度に複数の動画に商品をタグ付けできるようにした。ライブコントロールルームから直接ライブ配信に商品をタグ付けできるようにもなっている。


「きまぐれクック」はオオズワイガニを約66トン販売


すでに「YouTube ショッピング」を商品の販売促進に活用している、人気クリエイターのきまぐれクック氏は、「魚を捌いて美味しく食べるというコンテンツを配信していることから、少しでも多くの人に海鮮の美味しさを知っていただきたいと思い、ECショップ『かねこ道具店』を 2023 年にオープンした。ここでおせちやカニ、包丁などを販売している。2024年3月に販売したオオズワイガニは、動画の大反響を受け、3万2000 ケース(約66トン)を販売するほどの実績となった。今回のオオズワイガニのように、本当はお値打ちで美味しく食べられるものを動画を見ている人に知ってもらい、購入してもらうことで、日本の漁業がもっと盛り上がってほしいと考えているので、これからも『YouTube ショッピング』を使った活動に取り組んでいきたい」と話す。

BASEの鶴岡裕太CEOは、「『YouTube』と『BASE』が連携することで今までにはない新たな価値が世の中を巡ることになると思うので、そんな体験を『YouTube ショッピング』のチームと一緒に提供できることが本当にうれしい。今後は、より多くのユーザーに『BASE』を通じて『YouTube ショッピング』をご活用いただき、ショップのファン作りや集客、販促にきちんと貢献できるようサポートしていく」と語った。

今後、他のECサイト構築サービスとの連携するかについては、「現時点でお伝えできることはないが、『YouTube ショッピング』を広げるための活動は続けていく」(沖田氏)と話す。


米国ではショッピングのアフィリエイト機能も提供


米国では日本で提供していない「YouTube ショッピング」の機能もあるという。

「米国ではショッピングのアフィリエイトモデルを試している。比較動画などを配信しているクリエイターが自分のECサイトを案内するのではなく、動画で紹介している商品が『ここで買える』と案内し、動画内のタブからアフィリエイトで連携する先のサイトでの購入を促すことができる」(沖田氏)と話す。日本で同様の機能を提供するかは未定だが、日本でも利用できるようになる可能性はあるだろう。

ここ数年、YouTube ではショッピングコンテンツが伸びており、2023年には「YouTube」においてショッピング関連の動画が300億時間以上再生された。これは340万年分の動画を視聴したことに相当する。

さらに2023年の購入判断に役立つ内容のYouTube 動画(長尺動画、ショート動画、ライブ配信を含む)の視聴時間は前年比25%以上増加したという。

今回の連携先の追加により、「YouTube」におけるショッピングコンテンツのさらなる拡大、ならびにクリエイターの収益化の支援体制を強化していく考えだ。






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