2024.03.21

CRM支援大手のE-Grant、「新規獲得」に参入した狙いは?北川代表「パートナーと共に歩む」

代表取締役 北川健太郎氏


EC・通販CRMツール「うちでのこづち」を提供するE-Grantが今年1月、「ブランドローンチ&グロース事業部」を立ち上げた。CRMのツールやコンサルティングなどのサービスに加えて、商品開発や新規顧客のマーケティングまで包括的に支援していく。LTVを重視したCRM支援のリーディングカンパニーとして、CRMを起点にワンストップでEC・通販企業を支援できる体制を整えていく。サービス領域やチャネルを拡張することで、「No.1総合CRMカンパニーというビジョンを実現する」と意気込む代表取締役 北川健太郎氏に新事業の狙いや展望を聞いた。



CRM起点のマーケティングへの変化を先導


――EC・通販CRMツール「うちでのこづち」以外のサービスも強化しているのか?

クライアントへ提供できる価値やサービスの領域は広がっている。当初は「うちでのこづち」というツールを導入いただき、クライアントの状態を見える化し、マーケティングオートメーションでLTVの向上を支援してきた。

通販業界はプレイヤーが増え、当社のクライアントにおいても競合が増え、新規の顧客獲得が難しくなっている。そうした中、クライアントがCRMに注力する度合いが上がってきている。

この流れを受け、当社としてもツールを提供するだけではなく、ツールの運用代行やCRMコンサルティング、課題解決支援まで提供するようになってきた。CRM領域でもサービスを広げているが、CRM領域外にもサービスを広げている。


▲「No.1総合CRMカンパニー」としてCRM領域でもサービス広げている

――CRM以外の領域に進出する狙いは?

CRMへの投資を強化する流れはあるものの、CRMへの予算配分はまだ、販促費の5〜10%しかないのが実情だ。新規獲得のためのマーケティング重視の企業が多く、「獲得後にどう継続していただくか」「どうファンになっていただくか」をしっかり考えている企業は少ない。

通販を含めて、あらゆる産業が今後、成熟化していく中で、「今いるお客さまとの関係値をどう強くしていくか」「ファンをどう増やしていくか」というCRM起点のマーケティングが今後、スタンダードになっていくだろう。私たちはその変化を待つのではなく、自分たちが主導して、その流れを作っていきたいと考えている。

そのために、私たちはCRMだけでなく、CRMによる顧客の事業成長を実現するために新規獲得からサイトでの接客、そして購入後のCRMまで全マーケティング領域をワンストップで支援できるようにする。


▲代表取締役 北川健太郎氏


LTVを成果にすれば新規獲得の戦略も変わる


――新規獲得は広告代理店に任せて、CRMはCRM支援事業者に任せる、という形ではダメなのか?

現状だと広告代理店とCRM支援事業者は分断されている。広告代理店が一部、CRM支援を手がけているところもあるが、私たちから見ると専門性は低い。新規獲得からCRMまでのファネルは本来、統合されるべきだと考えている。

私たちが標榜している「LTVを向上する」「顧客との関係値を深める」も、新規獲得から携わることができた方がコミットできる。私たちがCRMで培ってきたデータを活用することで、どういう風に新規獲得のマーケティングを行い、CRMにつなげていくと、クライアントの事業成長につなげやすいかが分かる。LTVの観点から集めたデータは、マーケティングに転用できると考えている。

広告代理店は新規獲得の広告が上流でCRMが下流だと考えており、マーケティングは上流から下流への川下りのように捉えているが、私たちは逆にCRMから新規獲得の広告を考えていくので、川を上っていくイメージだ。こういったマーケティング戦略ができる企業はない。これを行うことがCRMを促進させることにつながると思っている。その結果、クライアントの成長を実現できると考えている。

――CRM起点の新規獲得は、既存のマーケティングと具体的にどう変わるのか?

新規獲得の広告運用とCRM施策が分断されていることで、LTVを上げる施策が思うように実現できないケースがある。CRM起点で新規獲得から手がけることができれば、この流入チャネルから獲得したユーザーに、こういうCRMのシナリオを作ろうというような、一気通貫して、LTV高めるためのマーケティングを設計できる。新規獲得とCRMの両方を見ることで、LTVを成果としてさまざまな施策の設計や検証が可能になる。

広告代理店はCPA・CPOで成果を判断している。その弊害として、低いCPA・CPOで獲得した顧客のLTVが低いというケースがある。分かりやすい例だと媒体によって動画やSNSでの獲得CPA・CPOは低いが、LTVも低いというものがある。CPA・CPOの高い低いに関わらず、LTVが高い方が結果として良い。LTVベースで予算配分することで、新規獲得のやり方も変わってくる。

多くの企業で新規獲得を担うマーケティングの担当とCRMの担当が分かれているため、ある媒体から獲得した顧客のLTVが低かったとしても、その情報が広告代理店まで伝わらない。そうすると目先のCPA・CPOが低い媒体から獲得し続けてしまい、CRM側で手を打っても、一向にLTVが上がらないということになる。

私たちが新規獲得に携わることで、広告運用をリアルタイムにコントロールできるようになる。LTVを見ながら毎月、PDCAを回していくことができる。既存の広告代理店と併用して、比べてみてもらうことで、その成果を実感してもらえると思う。

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