2024.01.13

【EC事業者に聞く!2024年の展望】ビビッドガーデン 秋元里奈社長「高付加価値へのシフトが重要に」

産直通販サイト「食べチョク」を運営するビビッドガーデンが成長を続けている。ユーザー数は95万人、登録生産者は9200軒に達している。秋元里奈社長に2024年の取り組みについて聞いた。

2023年1月に資金調達を実施、追加で約7億円を調達し、シリーズCの累計調達額は約20億円に達した。この資金調達では、地銀系のベンチャーキャピタル計12社と地域連携を強化できた。

9月には「食べチョクふるさと納税」を開始しており、地方自治体との連携をより進めることができた。

全般的には、AI活用について進んだ1年だった。6月に、元クラウドワークス副社長兼COOの成田修造氏が社外取締役に就任した。このタイミングで、生成AI(Generative AI)の研究と活用の強化を目的とした専門組織「Food AI Lab(フードエーアイラボ」という組織を立ち上げた。

コロナ禍の反動については、想定していたほどではない。当社は高付加価値を訴求していることもあり、会員の約半数が50代以上。年々利用者の年齢層が上がってきている印象がある。ただ、新規顧客獲得のスピードは大きく変化し、何かがきっかけで急増するといったことはなくなった。

消費者のリアル回帰が進んでいるような印象はある。一時期、広告出稿をオンラインに切り替えていた企業が、オフラインのほうが良くなったという話も聞く。

2024年は、物流コストが上昇する中でどう対応が変わっていくのかに注目している。

当社では、高付加価値の商品が欲しい人にどう届けていくかということを考えていく。生産者と消費者の関係性を作っていくことに力を注ぐ中で、リアルでの接点づくりもチャレンジしていきたい。

オーガニックやエシカル消費、訳あり商品に感度の高い層に対して、それぞれ商品やサービスを選べるようにしたい。

生鮮の産直ECについては、コロナ禍をきっかけに大きく伸ばすことができたが、消費者の商習慣としてどう根付かせていくかが大きな課題となる。

産直ECで生鮮品を購入すること自体は一般化しているが、日常的に産直ECを利用する人はまだまだ少ない。利便性を向上して、ネットスーパーを利用する感覚まで引き上げたい。

生鮮ECの見通しについては、生鮮品のEC化率はそもそも高くない中で、これが2024年に大きく伸びるかというとそうではない。

コストを削減する動きの中で、近所のスーパーに行って買い物し、自分で料理するといった動きもある。

当社も含めて高付加価値にシフトしていかないと厳しくなるのではないか。

食品×低価格訴求はより難しくなる。物流コストをかけ、取り寄せてでも購入する理由をいかに提供できるかが業績を分けそうだ。




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