2024.01.12

【ECモールに聞く!2024年の戦略】『楽天市場』松村亮氏「売り場、物流が進化、AI活用も強化」

楽天グループ 常務執行役員コマース&マーケティングカンパニーヴァイスプレジデント 松村亮氏


楽天グループが運営するECモール「楽天市場」は、アフターコロナを迎えても成長を継続している。2023年は特に「売り場の進化」「物流の強化」「データ・AIの活用」ついて強化を進めてきた。2024年は「配送品質向上制度」の導入が控えており、さらにユーザーにとって使いやすく、店舗にとって売りやすいプラットフォームに進化する計画だ。2023年の成果や2024年の展望について、常務執行役員コマース&マーケティングカンパニーヴァイスプレジデントの松村亮氏に聞いた。



――2023年の「楽天市場」の実績は?

2030年に国内EC流通総額10兆円達成を目指す中で、23年も堅調に成長を続けることができた。2023年においては、10月からのふるさと納税のルール変更に伴う駆け込み需要の影響により、第3四半期と第4四半期の流通のバランスが従来とは少し異なったが、ユーザーに向けたより一層の利便性拡充・向上をベースに、コロナ禍の巣ごもり需要を通して拡大したユーザーの定着と利用拡大が進んだ。

その結果、「楽天市場」のユーザーのリテンション率やロイヤリティ率も堅調に成長している。

「楽天市場」の最大の強みである、多種多様な店舗や商品の魅力を引き出す売り場作りに引き続き尽力するとともに、消費行動分析データやAIなども活用し、ユーザーの行動やニーズの変化にあわせた、よりお買い物しやすいプラットフォーム運営を実現していきたいと考えている。

――2023年に注力したサービスや強化した機能は?

「楽天市場」では、①売り場の進化②物流の強化③データ・AIの活用――の3つの観点において、大小さまざまなプロジェクトを推進してきた。

「売り場の進化」では、商品データの構造を見直し、SKUへの対応を促すことで、店舗さんに多様な手法で商品の魅力を発信できる売り場を構築し、ユーザーには、よりほしいものを購入できるお買い物体験を提供することを目指している。2023年4月以降、店舗さんにSKUへの切り替えを順次対応いただいている。

「楽天ポイント」を軸に、従来の「楽天カード」との供用による特典に加えて、「楽天モバイル」ユーザーへの特典を拡充し、「楽天エコシステム(経済圏)」を拡大することで、「楽天市場」での購入金額・頻度のさらなる押し上げ効果を実現することができた。

ソーシャルメディアや動画、ライブ配信など、店舗さんが、より多様な形で、ユーザーへ商品を訴求できる手法を構築している。広告においても、従来の検索連動型広告に加え、ターゲティング型の広告や、「楽天市場」外のメディア連携の拡充により、店舗さんにとって、一層の効果的な広告運用の実現を目指してきた。

「物流の強化」については、段階的に配送の質を高める施策の導入・検討を重ねている。2023年6月以降は、納期の分かりやすさの改善を目指しお届け日表示機能を導入した。さらに、今後はお届けスピードやユーザーニーズに合わせた受取選択肢を提供するなど、「配送品質向上制度」の導入に向けて検討を重ねている。

「楽天スーパーロジスティクス(RSL)」 においては、サービスの品質向上を図り、店舗さんの満足度向上に向けた取り組みを強化するとともに、店舗運営の効率化をサポートする物流サービスの提供を目指し、熨斗(のし)シール貼り付け対応などサービスの改善を図っている。

「データ・AIの活用」については、楽天の消費行動分析データとAIエンジンを活用して、ユーザーごとに最適な商品を自動表示や、ショップトップページのパーソナライズパーツの拡充、サーチの改善などを図っている。売り場全体において、従来以上のユーザー個々人への最適提案の幅を拡大した。

同時にユーザーのセグメントに応じた店舗さんのクーポン発行をしたりするなど、CRM領域においても、一層のパーソナライズ化を図ってきた。

さらに、店舗さん向けには、データ基盤の整備に加え、データBIツール「Tableau(タブロー)」を活用し、ECコンサルタント(ECC)の教育を推進することで、従来以上にデータに基づいた分析・提案・コンサルティングを実施している。

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