2023.09.09

集英社、漫画の原画アートをEC展開 国内アート市場開拓へ

新規事業部開発部 次長 岡本正史氏

集英社は、2020年から漫画の原画を印刷したアート作品をECサイトで販売している。漫画の芸術作品としての価値を生かしながら、日本のアート市場開拓を狙っている。

漫画の原画アート事業は、2000年代後半から取り組んだコミック配信の整備に合わせた、原画のデジタルアーカイブ化が起点となる。

2020年から電子証明を付けて原画プリントをアート作品としてECサイトで販売を開始。2021年には、NFTを活用した試みとして注目を浴び、ドイツの「Gmaundアワード」や「グッドデザイン賞」を受賞するなど、国際的な評価も得ている。


▲「マンガアート」で市場開拓を狙う

ECで展開しているのは、漫画の原画を高精度で印刷したものだ。集英社が発行する雑誌の人気タイトルの原画が用いられる。

原画アートは、データ版と手書きのアナログ版で異なった方法で作成する。手書き原画は、特殊な機器を用いて高解像化して撮影している。

こうしてデジタル化した原画を高精度に拡大して、細部の表現を生かすように印刷している。「小さいコマでしか見られないにも関わらず、細部の表現まで凝って描いていることが分かる」(新規事業部開発部次長・岡本正史氏)と言う。

さらに、現在は少なくなった活版印刷などの技術をあえて用いて作品化している。文化継承にも生かしているとしている。
 
また、リアルでの展示会も積極的に活用して、「マンガアート」の訴求を行っていく。7月には、東京・下北沢のギャラリーで展示販売を行った。さらに直近では、米ニューヨークで9月7日から開催されるアートフェアに出展する。
 
今後は、同事業を推進してアート市場を開拓。「日本のアート市場は、世界に比べて小さい規模だ。しかし、漫画というコンテンツから新しいマーケットを作りたい。中長期で500億円規模を目指している」(同)と言う。







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