2023.08.23

【EC企業のSDGs消費喚起策】楽天「EARTH MALL」1年で流通3倍 アスクルは「環境スコア」でCVR向上


アスクル、「環境スコア」で基準明示 100%再生原料のPB商品も提供


アスクルは商品開発や販売、配送などそれぞれの領域でサステナブルな取り組みを強化している。プライベートブランド(PB=自主企画)商品においては、使用済みクリアホルダーを再生して製造したクリアホルダーを販売するなど、自ら先陣を切って環境に配慮した商品開発に注力している。さらにPB商品には、独自の「環境スコア」を表示し、顧客に環境配慮レベルを分かりやすく示している。「環境スコア」が高い商品はコンバージョンレートが高まるなど、顧客からの反響も出ている。

アスクルは昨年12月、資源循環プロジェクトから誕生したPBシリーズ「Matakul(マタクル)」から4商品を発売した。協力企業から回収したクリアホルダーを原料にした、クリアホルダーやボールペン、ペン立て、小物入れの4種を発売した。


▲再生プラスチックを100%原料としたPBシリーズ「Matakul」

「1500事業者くらいから約126トンのクリアホルダーを回収させていただいた。協力企業からはこのプロジェクトに参加したことで、環境問題を考えるきっかけになったといってもらえた。協力企業には、回収実績を報告しており、自社の環境貢献活動が可視化される点も好評だ」(コーポレート本部 コーポレートコミュニケーション 立花丈美氏)と話す。


▲コーポレート本部 コーポレートコミュニケーション 立花丈美氏(左)とマーチャンダイジング本部グリーンプロダクトマネジメント 渡辺昭一郎部長(右)


高スコアでCVR上昇


2022年10月には、BtoB通販サービス「ASKUL(アスクル)」「ソロエルアリーナ」において、PB商品の環境配慮レベルを独自に数値化した「環境スコア」の表示を開始した。

「環境スコア」では、「容器包装」「商品本体」「仕組み」の原料や認証、形態、廃棄方法、リサイクル、設計などで環境に配慮されているかを評価している。商品によって該当項目が変わるため、共通した満点の設定はなく、加点方式となっている。

商品ページに「環境スコア」の数値を表示し、そのスコアの内訳もCSRサイトで開示している。今年2月には、BtoB通販サービスにおいて、「環境スコア」の状況を、葉っぱの枚数で分かりやすく表示する取り組みも開始した。


▲商品ページに「環境スコア」を表示(画像下部)

「もともと2010年ごろから、商品ごとに『リサイクルできます』『ゴミを削減できます』といった10項目の定性的な情報を載せていた。より定量的な評価をお客さまに分かりやすく伝えるため、『アスクル商品環境基準』を2021年7月に作成し、調査期間を経て2022年10月から表示を開始した。葉っぱの表示を始めてから分析したところ、葉っぱの枚数が多い方がコンバージョンレートは高いという結果が出ている」(マーチャンダイジング本部グリーンプロダクトマネジメント 渡辺昭一郎部長)と説明する。

今年2月に発行した「ASKUL」のカタログにおいても、「アスクル商品環境基準」や「環境スコア」を紹介する特集を載せた。カタログ読者のアンケートでは、印象に残ったページという質問において、「環境スコア」の特集を挙げる人が群を抜いて多かったという。

「上期中(2023年11月まで)に『環境スコア』が0点のアイテムを無くすことを目指している。0点の商品は当初、400品目くらいあったが、着実に減っている。今期中(2024年5月末まで)に平均点を開始時から5点上昇させ、36.0にまで高める目標も掲げている。将来的にはPB商品以外にもこの取り組みを波及させたいと考えている」(渡辺部長)と話す。

PB商品の環境配慮の基準として顧客に分かりやすく伝えるとともに、より環境に配慮した商品を開発していくための指標となっている。基準をオープンに示すことで、さまざまなサプライヤーにとっても1つの目安にしてもらうことを期待している。


苦い経験が取組強化に


アスクルには、過去に環境配慮の取り組みを強化する”きっかけ”があったという。

2000年ごろにカタログ商品の認証ラベルの誤表示や、NGOから原材料の産地の熱帯雨林を伐採しているとの指摘があった。

「省資源梱包に取り組んでいても、緩衝材を多く入れていたら『アスクル』ではなく『ごみクル』だと言われてしまったこともあった。環境配慮型のPB商品を増やし、コピー用紙を購入するごとに植林を行う『1box for 2trees(ワンボックス・フォー・トゥーツリーズ)』を実施している。『ごみクル』と言われないように、BtoB通販の一部のエリアで、コンテナボックスで商品を届け、ごみが出ないようにする『ECO‐TURN(エコターン)配送』も提供している」(立花氏)と話す。






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