2023.04.13

【メーク品の流通に大きな影響か!?】経済産業省、メキシコとの取引自粛を勧告 キャンデリラワックスの輸入が停止中

口紅などの原料となる「キャンデリラワックス」も輸出入自粛対象に

ワシントン条約事務局がメキシコに対して取引停止勧告を出したのを受け、経済産業省は3月28日、国内の事業者に対して、メキシコとの輸出入取引を自粛するよう勧告した。自粛勧告の対象は、全てのワシントン条約対象貨物。口紅などのメーク品の原料となる「キャンデリラワックス」も含まれる。同原料は年間数百トンがメキシコから輸入されている。輸出入の規制が長期化すれば、メーク品の供給に大きな影響を与える可能性がある。
 
ワシントン条約事務局は3月27日、メキシコ政府に対して、ワシントン条約の対象であるすべての動植物の商業取引を一時的に停止する勧告を出した。メキシコ政府が、絶滅危機に瀕している海洋魚の「トトアバ」を保護しなかったことに対する制裁措置だという。
 
ワシントン条約の対象品目には、「キャンデリラワックス(キャンデリラロウ)」や複数のサボテンが含まれている。
 
「キャンデリラワックス」は、肌に塗ると光沢が出る性質があることなどから、口紅などのメークアップ品や下地、ヘアスタイリング剤などに汎用されている。
 
メキシコから「キャンデリラワックス」を輸入しているある商社は、「当社は年間数十トンのキャンデリラワックスを輸入している。現在は輸入が止まってしまったため、新規の受注はストップしている。規制がもし半年から1年間続けば、国内のメーク品の流通に大きな影響を与えそうだ」(担当者)と話している。
 
メーク品も取り扱う大手化粧品OEMメーカーは「輸入制限の影響はかなり大きい。代替原料を今後検討することになっているが、代用可能なものがあるかは模索中だ。コロナ収束で口紅関連製品の開発が積極的になっているが、この流れに水を差す恐れがある。深刻な問題に発展する可能性もある」(取締役)と話している。
 
経産省では、「メキシコが取引停止の勧告を受けるのは初めて。メキシコ政府も、規制の撤廃に向けて、トトアバ保護の計画の策定をすぐに始めたと聞いている。いつまで規制が続くかは未知数だ」(貿易管理部野生動植物貿易審査室)としている。
 
日本化粧品工業会(本部東京都)では、「影響は大きいと考えられるが、実際のインパクトがどれくらいあるかは未知数だ」(飛騨俊秀常務執行理事)と話している。


※経済産業省は4月14日、3月28日付で行っていたメキシコとの取引停止勧告について、解除したと発表した。ワシントン条約事務局が4月13日に、取引停止勧告を解除する通告を行ったことを受けた措置だという。

メキシコ政府は4月7日、ワシントン条約事務局に対して、絶滅危惧種の海洋魚「トトアバ」の保護計画を策定・提出した。ワシントン条約の勧告に関する常設委員会は、メキシコ政府の午後計画を了承。取引停止勧告を即時解除した。


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