(一財)日本サイバー犯罪対策センター(JC3)は2023年2月、悪質なショッピングサイトなどに関する統計情報を発表した。2022年における、悪質ショッピングサイト等についての通報件数は、前年比で1万件超の増加となるなど、急増しているという。最新の悪質ショッピングサイト事情について、日本サイバー犯罪対策センター経済・金融犯罪対策チームの大野克巳リーダーに話を聞いた。
――悪質ショッピングサイトの被害が増えていると聞くが。 悪質なショッピングサイトに関する通報件数は、右肩上がりで増え続けている。2022年の通報件数は、2万8818件となっており、2021年に比べ、1万940件増加した。
【悪質なショッピングサイト等の通報件数】――悪質ショッピングサイトには、どのようなものがあるのか?悪質なショッピングサイトは、大きく分けて2種類存在している。
1つ目は、一見通常のECサイトのようだが、「購入しても商品が届かない」「粗悪品が届いた」といったケースだ。商品ページには大幅に割引された価格の商品が並んでいることが多い。ジャンルの統一性がなく、商品写真もクオリティーが低いことが多い。
こういったECサイトは、悪質かどうかの判断が難しいことが問題だ。商品が届かなかったとしても、「発送の遅れ」や「在庫切れ」などと言ってごまかすことも多く、発覚が遅れてしまう。
2つ目は、本来あるECをまねた偽ECサイトだ。会社名やサイト名、サイトの構造をまねているため、消費者もだまされて買ってしまう。問題が起きた際の問い合わせが正規サイトへ行くことも多い。
事業者は売り上げが下がるだけでなく、問い合わせへの対応もせざるを得なくなる。
――事業者はどのようにすれば、偽サイトの被害を防げるか? 「自社のECサイトの偽サイトがないか」「自社のサイトが改ざんされていないか」といったことを日々確認することが重要になってくると思う。
前述の通報件数の内訳を見ると、悪質ショッピングサイトを知った経緯の上位を、「ウェブ検索」や「SNSやメールから」が占めていた。
「顧客等からEC企業に情報が寄せられたことにより、偽サイトの存在が発覚するケース」も増えてきているという。自社で確認するだけでなく、顧客などからの問い合わせや情報提供にも注意深く目を配ることが、偽サイトの早期発見につながるのではないか。
ウェブで検索した際、本物よりも偽物が上位に表示されてしまうというケースも増えている。偽サイトで消費者が被害に遭えば、正規のサイトの売り上げが下がることになる。
偽サイトへの対策を講じることは、消費者被害をなくすことに役立つだけでなく、自社のECサイトの信頼や売り上げにもつながる。日々確認を続けていってもらいたい。