決済代行大手のSBペイメントサービスで営業本部長を務める桑原康弘氏は、「2023年のEC市場では、ユーザーが、今よりもシビアにサービス選択をしていくだろう」と予測している。複数の顧客接点を統合してデータ分析・活用する「ユニファイドコマース」を採用し、商品の品質や顧客の利便性を高めていく必要があると話す。
2023年のEC市場では、サブスクリプションのサービスを中心に、顧客のサービス選別がよりシビアになっていくだろう。
コロナ禍でユーザー数を大きく伸ばした、当社の加盟店の中でも、2022年末の現時点では、伸び悩んでいるというケースが少なくない。インフレや、外出の増加など、さまざまな社会事象の影響から、ユーザーの消費行動が変化しつつあるようだ。
2023年は、多くのEC企業にとって、新規顧客の獲得の難易度がさらに高まるだろう。例えば、キャンペーンをきっかけにサブスクのサービスへの契約を促すようなケースについて考えてみよう。こうした場合、ECサイトのUI/UXが良くないと、キャンペーン期間だけ契約して、本契約はせずにやめてしまうユーザーが多くなるだろう。
同様の理由で、既存顧客の離脱も発生しやすくなると考える。
ユーザーに選ばれるためには、商品の品質を向上させるのはもちろん、サイトの利便性を高めることも重要だ。実店舗、ECサイト、ECモール、SNSなど、さまざまな顧客接点を整備し、そこで得たデータを分析・活用していく「ユニファイドコマース」が浸透していくのではないか。
そのための人材の確保も重要になっていくと考える。
BtoC-ECの競争が激化する中で、BtoB-ECの市場拡大も進むだろう。そんな中、決済サービスも進化していく。これまでBtoB-ECでは請求書払いが主流だった。キャッシュレス化を進めると、支払い管理や、振り込み情報の付き合わせを自動化することができる。当社としても、オペレーションの効率化を含め、決済サービスの提案を行っていく。
ECの利便性が高まる一方で、セキュリティーや不正利用対策も大切になってくる。取引先の決済代行会社に相談しつつ、「不正利用」を適切な方法で回避していくことが必要だ。