「婦人画報」や「エル」などの雑誌を発行するハースト婦人画報社のECサイト「婦人画報のお取り寄せ」は、出版社ならではのコンテンツ力やネットワークを生かし、成長している。お取り寄せ需要が伸びたコロナ禍は特に売り上げを伸ばしており、2020年の売上高は前期比約2倍になった。
雑誌「婦人画報」は、グルメに強い媒体。掲載商品を購入したいという読者の声に応えてECサイトを開設した。2022年の4月でECサイトを開設して11年が経ち、サービスの信頼感の高さや商品力が最大の強みだという。
「オンラインでの買い物はハードルが高いため、見ているだけでワクワクするような、高揚感の出るサイト作りを心掛けている」(PR担当 高村由紀子氏)と言う。
季節のイベントにも尽力している。
▲クリスマス向けのスイーツも充実「ブランドのイメージに合うような、”お年賀特集”を組んで毎年実施している。他社には見られない特集だが、『婦人画報のお取り寄せ』だからこそできると思っている」(同)と言う。
▲婦人画報のお取り寄せコンテンツとしての楽しみを提供できるような特集を多く組んでいる。”かわいいパッケージのスイーツ特集”などユニークなタイトルで、ファン獲得につなげている。
▲「いちご大福と茶菓のお店 あか」の『akasand』ハロウィーンの人気商品は、顧客の関心が高いこともあり、9月中に完売した商品もあったという。特集は余裕を持ってシーズンの約2ヵ月前に掲載を開始している。おせちは半年前から販売を始めている。
オリジナルのおせちも用意しており、毎年好評だという。コロナ禍で帰省する人が少ないと想定された年には、1人用のおせちの販売を強化するなど柔軟に対応している。
SNS活用にも力を注いでいる。2018年から、インスタグラムの運用を強化し、2020年にフォロワーが10万人突破した。ライブ配信機能を用いて、商品を実食する様子などを配信。フォロワーとのエンゲージメントを高める点に注力していたという。
▲インスタグラムで美しいグルメの画像を配信雑誌の読者層は比較的、年齢が高いため、インスタグラムではより若い女性顧客の取り込みを狙っている。30~50代の男性顧客へのアプローチとして、Tver(ティーバー)で動画広告を配信し、認知度を高めている。
「新規顧客の獲得をしつつ、既存の顧客を大切にしたい。もっとお取り寄せを好きになってもらえる施策をしていく必要ある」(同)と言う。
今後、配送のリードタイムの短縮を図り、さらなる顧客満足度向上を狙う。