2022.01.24

【記者座談会 2022年EC業界予測<6>ライブコマース編】日本でも市場拡大、信頼関係構築が鍵


ライブ配信者の内製化進む


司会:ライブコマースは配信者を内製化することで販促コストを抑制できるメリットもあるのか?

永井:広告費の負担がない販促という点でもライブコマースは大きな可能性を秘めていると考えている。ウェブでの広告費をかけていくと、その利益が取りにくいというのは、私の取材先のアパレル企業などだとよく聞くので、大企業を中心にライブコマースを実施する事業者が増えてきている感触はある。

事例でいうと、バロックジャパンリミテッドに聞いた話が印象的だ。こちらも、インフルエンサーの内製化みたいな形で、実店舗のスタッフがライブコマースを、店舗営業終了後に実施している。ライブコマースで店舗の2倍を売り上げたこともあるそうだ。店舗の施設やスタッフを活用した取り組みも今後、より増えていくのかなと考えている。

大多:店舗スタッフによるライブコマースだと、家電の分野も相性が良い。最近の話だとヤマダデンキがライブコマースを開始した。ビックカメラも定期的にライブコマースを実施するなど家電量販店を中心に広がっている。家電などの専門性の高い商品は、販売員のライブコマースを通じて商品の疑問も解消できる。例えばロボット掃除機だったら、「バッテリーは何時間持ちますか」「ワンルームには合わないですか」といった具体的な質問コメントに対し、販売員が店舗の接客の「のり」でどんどん回答できる。

購買欲を高めるという点では、もちろん価格や著名人の訴求もあるが、こうした専門知識を持つスタッフによるアクティブな接客も、ライブコマースっていうのは可能性があるのかなと考えている。

後藤:ライブコマースは飲食店にも向いている販売手法だとみている。飲食店の人たちが料理を作る模様を配信し、「今から30商品を限定販売します」などと告知する。今こうした感じで作っていて、こういう商品が完成する、お店に行くと実際に買えるというライブ感は響きそうだ。このようなライブ感がライブコマースの大きな要素の一つだと思っている。「ライブコマースの強みって何?」っていうところが、まだまだ突き詰めきれてないと思う。

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