2022.01.17

【記者座談会 2022年EC業界予測<1>OMO編】リアル店舗のEC化、ECサイトのリアル化が加速


2022年のEC業界はどう動くのか――EC業界の”現場”を取材で駆け回る「日本ネット経済新聞」の記者が集まり、「2022年のEC業界予測」を語り合った。テーマは①OMO ②物流 ③コンプライアンス ④越境EC ⑤商品調達 ⑥ライブコマース ⑦メタバースーーの7項目。記者が取材で見てきた変化を振り返りつつ、今年のEC業界の行方を占う。記者の写真とともに、それぞれが掲げるEC市場を攻略するための「2022年のキーワード」も掲載している。


【①OMO編】

司会:OMOの概要から説明してほしい。

手塚:ユナイテッドアローズの藤原義昭執行役員CDOから「オムニチャネルとOMOはちょっと違う」と聞いた。オムニチャネルはどちらかというと、物流面のリアルとECの統合施策のことだという。商品在庫をリアルとECで統合管理し、機会損失を減らすための取り組みだ。

一方、OMOはリアルとECで統合された体験を提供するというイメージのようだ。ユーザー目線でリアルとネットの境目がなくなっていくというイメージが強い。

顕著な事例は、販売スタッフのEC活用だろう。販売スタッフが店舗で接客するだけではなく、オンラインでも接客するようになった。販売スタッフのコンテンツや問い合わせ対応を活用することで、リアルで買い物をしているような感覚で、ECサイトでも買い物ができるようになってきている。

ECは従来、リアルの買い物とは違って、商品を検索したり、データベースを軸に買い物をしたりするのが普通だった。これまでは、リアル店舗も「ECでの売り上げ拡大にあまり貢献したくない」「ECに売り上げを奪われる」という感覚があったので、あまり協力的ではなかった。

一方で近年、店舗スタッフのオンライン接客などを支援するサービスとして「STAFF START(スタッフスタート)」や「visumo(ビジュモ)」などが普及しつつある。コロナ禍でECに力を入れざるを得ないという事情もある。

2022年はより”リアル回帰”のような形で、お客さんがどんどんリアルに来てくれるようになると思う。オンラインで見ていた販売スタッフに、リアルで接客してもらい、そこでよりファンになったお客さんが、またオンラインでというように、人を軸としたリアルとECの相互利用が広まるのではないか。



      手塚康輔 記者

【2022年のキーワード「リアル(本質)回帰」
大手は実店舗送客を強化し、OMOで攻める。中小はリアルのようなリッチなサービスをECで表現できるかが鍵となる。


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