2022.01.18

【記者座談会 2022年EC業界予測<2>物流編】存在感増すモール物流、業界構造に影響も


2022年のEC業界はどう動くのか――EC業界の”現場”を取材で駆け回る「日本ネット経済新聞」の記者が集まり、「2022年のEC業界予測」を語り合った。テーマは①OMO ②物流 ③コンプライアンス ④越境EC ⑤商品調達 ⑥ライブコマース ⑦メタバースーーの7項目。記者が取材で見てきた変化を振り返りつつ、今年のEC業界の行方を占う。記者の写真とともに、それぞれが掲げるEC市場を攻略するための「2022年のキーワード」も掲載している。


【②物流編】

手塚:一部で「第二の宅配クライシスが起きる」という報道があるが、個人的には逆のことが起きていると見ている。ECモールによる物流サービスの台頭と、値下げ競争だ。実際に、楽天グループやアマゾンなど、ECモールによる物流サービスが本格化しており、運賃も下がってきている。

2020年にヤフーとヤマト運輸が共同の物流サービスを開始し、2021年春にはサービスを刷新して魅力的な宅配運賃を提示している。2021年末には、アマゾンが都市部で当日配送を強化した。ECモールの物流サービスは、さらに強化され、競争が激しくなっていくのではないかと感じている。

モール物流は、中小の物流代行会社にも影響がありそうだ。中小の物流会社は、自動化のシステムや、効率化して運賃を下げるノウハウがないケースが多い。システムや効率化とは別の、付加価値のあるサービスで勝負していくしかない。それができない会社もある。すでに、3PL(サードパーティーロジスティクス、物流代行)業界でも、淘汰や再編が進んでいると耳にする。

後藤:モール物流が強化されればされるほど、「早くて届くのが当たり前」「安くて届くのが当たり前」という考え方が、普遍的になってしまう気がする。物流代行が大手に集約し、中小零細の物流代行会社は苦しい立場に立たされる。このことは一大事だと思っている。

中小零細で単独の物流代行事業を展開している企業は、例えば、自社ECが強い企業とタッグ組んで勝負をするなりしていかないと、疲弊していく時代を迎えることになるのではないか。

物流倉庫は自動化している方が圧倒的に効率性が高い。物流倉庫では人員が不足しており、マンパワーで事業を運営している企業は、自動化の波には勝てないと思う。


      後藤工 記者

【2022年のキーワード「対極化」
大衆品か専門品などの消費動向が対極化するのではないか。価格設定や商品力も中途半端だと淘汰される可能性がある。

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