文藝春秋は、昨年10月に開設した取り寄せECサイト「文春マルシェ」の売り上げが堅調だ。現在は土用丑(うし)の日を前に、ウナギのかば焼きの引き合いが強まっている。この他、足元ではカタログを制作し、中元向けの受注にも対応している。
丑の日を前に人気が高まっているのは、四万十(しまんと)ウナギのかば焼きと、東京・銀座のウナギ専門店「にょろ助」のかば焼き。ウナギ需要の高まりを見越して、関東風のかば焼きである四万十ウナギと、関西風ウナギである「にょろ助」のかば焼きを用意し、顧客の好みに応じられるようにしている。
月刊誌「文藝春秋」など、同社が発行する媒体の顧客ボリューム層は50~70代。この年代に、情報だけにとどまらずリアルな物も届けたいと、第1弾として「文春マルシェ」を開設した。コロナ禍で食の取り寄せ需要が高まったことから、当初の予定よりも公開を急いだという。
中元向けの展開も行っている「文春マルシェ」の利用者は文藝春秋が手掛けるメディアの既存顧客にとどまらず、新たな顧客の創出につながっている。現在はサイト内の特集に力を入れているという。「毎月二本ほど特集を作り、そこからの送客導線としている」(柏原光太郎新規事業開発局長兼文春マルシェ・チーフプロデューサー)。
開設直後は、特に年末の受注が伸びた。例えば、有名料亭の水炊きセットなど、鍋料理を楽しめる商品のニーズが高まった。今年の年末はおせちの取り扱いも予定している。
「ユーザーにとって、はずれなくおいしい物に出会えるサイトを目指す」(同)とする。
顧客の年齢層が高いことから電話注文も多い。「笹ちまき」など誌面広告に掲載しているページを手に、「これが欲しい」と電話で話す人もいたという。
「文春マルシェ」https://shop.bunshun.jp/store/top.aspx