2021.07.14

ミサワホーム、荷物受取用のドローンポート備えたコンセプト住宅が完成 「暮らし」「健康」「環境」がテーマの持続可能な住まいを提案


【長期に渡って多様な利用ができる暮らしのシン・デザイン】


1階に設けたシェアオフィスでは、仕事内容に応じて最適なワークプレイスを選ぶことができる空間として「ABW(Activity Based Working)設計」を提案。緑化や音などの要素を自然環境に近づけて設計する「バイオフィリックデザイン」に加え、最適な植物の配置によって、ストレス軽減や生産性の向上が期待できる環境を提案する。植栽は全て計画的に配置し、仕事に取り組むにあたってストレス軽減に最適とされる緑視率10~15%を確保。また、大収納空間「蔵」はオフィス収納のほか、地域の防災備蓄としても活用できる。平日のシェアオフィス利用に加え、休日は家族で利用する、地域の人々に開放するといった利用も可能。長期的にはカフェなどの店舗貸しや、多世帯の同居スペースとするなど、多用途な利用が可能な空間としてる。

将来的な車いすやロボットの利用など、家族状況の変化や使用する機器の進化を想定し、ホームエレベーターを含むフルフラットのバリアフリー設計を採用した。また、スマートフォンの操作により荷物を自動で運搬する「収納支援ロボット」を導入。ビルトイン宅配BOXで受け取った荷物を「蔵」に運んで保管したり、指定した荷物を「蔵」の外まで運び出したりするなど、さまざまな作業を支援する。

フレキシブルな利用を前提にシンプルな配置構成とした2階のLDKは、エントランスの吹き抜けと開放感のあるガラスパーテーションでつなぎ、透明・不透明の切り替えが可能な調光ガラスを採用。パーテーションを大きなスクリーンとして利用することにより、オンラインを活用して、離れて住む家族の様子を映し出す、料理教室などの集まりに参加するなど、家にいながら離れた場所とのつながりが可能なリビングとなっている。音環境では、音の広がる範囲を一定の方向に制限することができる超指向性スピーカーを活用することで、空間拡張や音のパーソナライズ化を提案。聴覚を通して空間に広がりを感じるとともに、家族が近くにいても、各々の部屋にいるように、自由に好きな音楽やサウンドコンテンツを楽しむことができる。

コロナ禍により急増した宅配に対して、物流業界ではドライバーが不足。人口の少ない郊外では、物流インフラの維持も問題になっている。こうした状況のなか、ドローンの社会実装本格化を見据え、住宅側で生活用品や医薬品などの受け取りができる仕組みとして、バルコニーと隣接するフラットルーフに移動式のドローンポートを提案。移動式のドローンポートは、屋根下の待機場所から、荷物の到着場所に自動で移動し、受け取り後は所定の位置まで戻り、ワイヤレス給電により充電して待機する。



従来の平面的なデザインとは異なり、実写画像の上にタグを埋めこんでボタンや情報を構成する、次世代ユーザーインターフェイスを提案しており、タブレット型端末などで画像上の照明やロールスクリーンをタップすることで、直感的な操作ができる。また、選択した設備機器のメーカーや型番、取扱説明書など、製品の解説を参照することも可能だ。温湿度センサーなどを活用した耐久モニターも搭載し、異常の早期発見や適正な時期のメンテナンス実施に役立てることができる。


【スマートウェルネスを実現できる健康のシン・デザイン】


家族のプライベート用に設けた1階の玄関には、非接触の自動ドアやタッチレス水栓を設けたクリーンクロークを提案。帰宅時、抗菌・抗ウイルス照明によって靴やコートを、紫外線照射によってスマートフォンを除菌できる。クローク内には冷蔵と常温で上下に仕切られたビルトイン宅配BOXを備え、クール便や大型荷物の受け取りに対応するほか、洗面台に設置する非接触の情報ミラーでは、交通情報や天気など外出時に必要な情報の確認も可能。感染症対策とあわせて豊かな暮らしをサポートする。

2階に設けたホームオフィスは、日常では書斎や趣味の部屋、体調を崩した際には療養部屋として使えるマルチプレイス。療養時には、隣接する洗面・トイレまで含めて仕切り、独立換気とトイレの換気を併用して部屋を負圧にコントロール。空気の流出を防ぎ、家族間の感染リスクを抑制することができる。可動ウォールパーテーションを採用しており、ホームオフィス利用時に間仕切ることによって、1室で2人が快適に在宅ワークを行うことができる。

2階の主寝室では、音や温湿度などをパーソナライズ化することで、健康的な睡眠環境と夫婦同室を提案する。AIスピーカーやセンサーと連携したシーン制御によって、入眠を誘うリラックスタイムや睡眠中、起床時など、状況に合わせてベッドの角度や照明、加湿器、ロールスクリーンなどを自動制御。寝室にも超指向性スピーカーを採用し、起床する時間が異なる場合でも、一方のアラームによって隣で寝ている相手を起こしてしまうことを防ぐ。睡眠中の心拍や呼吸、体動を自動測定した睡眠スコアが、洗面台の情報ミラーに表示されるため、日常生活から健康管理ができ、心身の健康維持をサポートする。

1.5階には、単なる水廻りではなく、健康に心地よく過ごせる居場所として「ウォーターリビング」を提案。壁面全体を情報ミラーとした洗面台には、寝室で測定した睡眠スコアや、床面と一体になった体組成計との連携機能、体温測定機能などにより、日常的に健康管理を行えるほか、大画面のモニターとして映画鑑賞も可能。ウォーターリビングは、2階のコネクテッドリビングとダクトを通じて空気環境をつなげるシェア空調により、寒い季節のヒートショックなど健康障害を予防するとともに、居心地のよい空間として寛ぐことができる。


【自然から災害を、温暖化から環境を守る環境のシン・デザイン】


外構計画では、自動車の給電対応や将来的なモビリティサービスに備えてビルトインカーポートを採用。隣接するレジリエンスウォール内部には、車と住宅間で給電するV2Hや、災害時に車から電力を給電する「クルマde給電」のほか、ミサワホームが水害対策として提案する防災エクステリアのスマート防水ボード、雨水を活用する雨水タンクを備えている。タンクの水はポンプアップして2階バルコニーにある植栽の給水などに活用し、非常時には夫婦2人分で最大約8日分もの生活用水を確保できる。

屋根・外構に設置した太陽電池、燃料電池、蓄電池による全負荷型3電池連携システムにより、エネルギーの自立性を高める提案も行う。停電時にも住まい全体に高出力の電力を供給できるため、自宅非難を可能とし、普段に近い暮らしが継続できる。また通常時には、再生可能エネルギーの自家消費率を高めてカーボンニュートラルの実現に貢献する。

1階の屋内エントランスホール「コネクテッドラウンジ」に植えたシンボルツリーなどの植栽には、水耕栽培のハイドロカルチャーを採用。通気性や排水性を高めることにより、根の持つ空気浄化作用を促進させて空気質環境を良好に保ち、ファンを通じて室内にきれいな空気を送る。あわせて夏場には、雨水を流すことで打ち水効果が生まれるドリップルーバーによって冷やされた涼風を室内に取り込みつつ、高窓やシーリングファンなどの連携で温かい空気を自動で換気する「涼風制御システム」により室内の温度環境を改善する。


ミサワホームは、これまで社会ニーズに先駆けて環境に貢献できる住まいの研究を積み重ねてきた。1998年には世界初のゼロ・エネルギー住宅を発売。2010年には、2030年を見据えた更なる省エネルギー住宅として、LCCMを実現する「エコフラッグシップモデル」を発表した。

そして昨今、激甚化する自然災害や感染症への不安は高まり、空き家の増加も深刻化するなど、社会課題は以前に増して複雑になっている。また、単世帯や共働き世帯、高齢者世帯がそれぞれ増加するなか、人々の暮らし方も多様化している。こうした社会課題の解決や多様な暮らし方に対応するためには、エネルギー面だけではない、多面的、かつ住まいの枠を超えたサステナブルな暮らしの提案が必要だと考え、2030年の住まいとして、持続可能な未来につながるコンセプト住宅の提案に至ったとしている。より良い住まいづくりがより良い未来づくりにつながると考え、さまざまな社会の変化に柔軟に対応して貢献する、持続可能な住まいづくりを目指すとしている。



RECOMMEND合わせて読みたい

RELATED関連する記事

RANKING人気記事