2020.09.11

【最高の顧客体験を提供する「実感型」デジタルマーケティング】第4回「『実感型』マーケティングを実践するために必要なこと」

プラスアルファ・コンサルティング山崎雄司執行役員


同じ施策でも、顧客が感じる体験価値は一人一人違う


個を捉え、カスタマージャーニーを見ることができるようになったら、次はどうすれば良いのでしょうか。

カスタマージャーニーを踏まえた具体的な施策に移る前に、忘れてはいけない大切なことがあります。それは「同じ施策でも人によって受け止め方が違う」ということです。もっと言えば、同一人物であっても、受け止め方はその時々で変化します。

一定以上の購入履歴などがあり、「優良顧客」と位置付けた群に、AさんとBさんがいるとしましょう。これまでの購入価格は同じだったとしても、AさんはECサイトをひんぱんに訪れ、月に1度購入している人かもしれない。Bさんは、ECサイトの訪問やメルマガの開封をほとんど行わないにもかかわらず、ある日サイトを訪れ、まとめてたくさんの商品を購入している人かもしれません。このほかにも、オンライン中心の買い方をしたり、主に実店舗でスタッフとの会話を楽しみながら買い物する人など、さまざまです。ひと口に「優良顧客」といっても、顧客一人一人の中身(顧客行動)は全然違っているはずです。

顧客を「実感」する上では、このような顧客ごとの違いがあることを理解することが大切です。違いがあることを理解して初めて、次にどのような行動を促していきたいか、これから行う施策の結果を具体的に思い描くことができます。

線ではなく点でしか顧客の動きを捉えることができない場合、分析の粒度は非常に粗いものになってしまいます。施策を行う企業独自のアプローチを行うことは難しいでしょう。

顧客体験が叫ばれて久しいですが、顧客体験の難しいところは、体験を評価するのは相手(顧客)であることです。先にお伝えしたとおり、大勢の顧客を対象に同じ施策を実施したとき、受け手が感じる体験価値はさまざまです。極力、一人一人に合わせた、パーソナライズされた施策を行うことが大切です。その体験価値を提供するには、サービスや商品自体を磨き上げることも必要になるでしょう。磨き上げる方向性を知るためにも、顧客を理解し、「実感」することは非常に大切な要素です。


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