2024.03.15

【広告表示の落とし穴】「顧客満足度1位」は慎重に 「ナンバーワン表示」で措置命令相次ぐ

エクスコムグローバルの「イモトのWiーFi」

消費者庁は2月27日から3月7日にかけて、太陽光発電を販売する新日本エネックスをはじめとした11社に対して、景品表示法に基づく措置命令を行った。いずれも、「顧客満足度1位」などの「ナンバーワン表示」を問題視している。いずれのケースも、事業者が任意に選択して対比したものを参考としてナンバーワン表示を行っており、「客観的でなかった」としている。

景表法に詳しい東京神谷町綜合法律事務所の成眞海(せい・しんかい)弁護士は、「ウェブマーケティングではナンバーワン表示が一つのテンプレートになっている。依頼会社が必ず『ナンバーワン』を取れるようになっており、実態との乖離(かいり)があることは明らか」と話している。「顧客満足度一位」などの広告表示を行う場合、表示の根拠などを慎重に選ぶべきだろう。


11社中5社が住設系


「ナンバーワン表示」に関する一連の措置命令では、太陽光発電を販売する住設系事業者が多く対象になった。今回、措置命令を受けた11社中、5社が住設系事業者だった。
 
2月27日に行われた新日本エネックスに対する措置命令では、「『アフターフォローも充実の太陽光発電蓄電池販売』『安心して導入できる太陽光発電・蓄電池販売』『知人に紹介したい蓄電池販売』の3部門でNo.1を取得しました」などといった表示が問題視された。
 
消費者庁によると、「実際は、新日本エネックスが販売する商品や、他の事業者が販売する同種の商品について、利用したことがあるものか、または知見を有するものかを確認することなく、印象を問うものであり、調査を正確かつ適正に引用しているものではなかった」としている。
 
2月28日に措置命令を受けた「イモトのWiーFi」を販売するエクスコムグローバルに対する措置命令では、「海外旅行者が選ぶ NO.1海外WiーFiレンタル」が第1位であるかのように表示していた点が指摘された。
 
実際には、回答者に対して、サービスを利用したことがあるものかを確認することなく、エクスコムグローバルと特定事業者が、任意に選択して対比した事業者のウェブサイトの印象を問うものだったとしている。
 
6月29日に措置命令を受けた注文住宅の建築を行う飯田グループホールディングスなど5社に対する措置命令でも、概ね同様のナンバーワン表示を指摘している。


「1位」はハードルが高い


太陽光発電や注文住宅以外でも、あらゆるジャンルのウェブ広告で、こうしたナンバーワン表示はよく見られるようになっている。前出の成弁護士は、「そもそも最初からナンバーワンにすることが前提で、調査などが行われていることが最大の問題だ。恣意(しい)的に『勝てる相手』だけを比較対象にして、必ずナンバーワンを取れるようにしている」と、ナンバーワン表示の問題点を指摘している。
 
成弁護士によると、今回の措置命令で指摘されたようなナンバーワン表示をしたい場合、①比較対象を恣意的に選ばない②実際に比較対象も含めてすべての商品やサービスを利用してもらった上で回答をもらう――といったことが必要になるという。消費者庁の措置命令の内容からは、こうしたメッセージが読み取れるのだそうだ。
 
「現実的にはそのような調査はかなり難しい。本来ナンバーワンを名乗るのであれば、それだけ大きなハードルがある、というのが消費者庁が伝えたかったことではないか」(成弁護士)と話している。




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