2024.03.13

北の達人コーポレーション、キーリーらによる不正表示に対する損害賠償請求事件で勝訴

北の達人コーポレーションはこのほど、キーリー、およびリトルギアに対して提起していた不正表示に対する損害賠償請求訴訟に勝訴したと発表した。札幌地方裁判所は、キーリーによる表示が不正競争防止法の「誤認惹起行為」および「一般不法行為」に該当するとして、キーリー、リトルギアの両社に対し、損害賠償金の支払いを命じた。知的財産法の適用を受けない行為に対して、日本で初めて、民法上の一般不法行為に基づく違法性が認められた。

北の達人コーポレーションは、自社の目もと用クリーム「アイキララ」の競合品「Memorich メモリッチ」を販売するキーリーが、リトルギアに制作させた「Memorich メモリッチ」の販売ページおいて、根拠に基づかずに「モニターが選んだアイクリームランキング1位」「目元の悩みに使ってよかったアイクリームランキング1位」「目元に優しい化粧品アイクリームランキング1位」等と表示していた件、および、リトルギアに制作させた北の達人コーポレーションの商品とキーリーの商品の比較広告ページにおいて、北の達人コーポレーションの商品(アイキララ)の「お試し定期コース」は途中解約ができない等の虚偽情報を表示していた件について、2021年3月23日、キーリー、およびリトルギアに対し、損害賠償請求訴訟を提起している。


▲キーリー社による根拠に基づかないランキング表示


▲リトルギア社による当社商品に関する虚偽情報を内容とした表示

これに対し、札幌地方裁判所はこのほど、キーリーによる根拠に基づかない「モニターが選んだアイクリームランキング1位」などの表示が、不正競争防止法の「誤認惹起行為」に該当するとして、キーリー、およびリトルギア社に対し、損害賠償金の支払いを命じた。

さらに制作した商品の比較ページにおいて、北の達人コーポレーションの商品が「お試し定期コース」の途中解約ができない等の虚偽情報を表示したことについては、民法の「一般不法行為」に該当するとして、キーリー、およびリトルギアに対し、損害賠償金の支払いを命じた。

この虚偽情報の表示については、「不正競争防止法2条2項21号の『信用毀損行為』に該当しないが、自由競争として許容される範囲を逸脱する態様による広告であって、民法709条の『一般不法行為』としての違法性を有する」と判示された特殊な判決となる。

不正競争防止法や著作権法といった知的財産法が掲げる要件に該当せず、知的財産法の適用を受けない行為については、「著作権法6条各号所定の著作物に該当しない著作物の利用行為は、同法が規律の対象とする著作物の利用による利益とは異なる法的に保護された利益を侵害するなどの特段の事情がない限り、不法行為を構成するものではない」と判示した最高裁判例以後、民法上の不法行為に基づく違法性が認められた事案は存在しなかった。

こうした状況において本件は、リトルギアによる虚偽情報の表示が、「自由競争として許容される範囲を逸脱する態様による広告であって、民法709条の一般不法行為としての違法性を有する」と判示され、当該最高裁判例以後、日本で初めて、知的財産法の適用を受けない行為に対して、民法上の一般不法行為に基づく違法性が認められた。

今回の判決を受け、北の達人コーポレーション 代表取締役社長 木下勝寿氏は、「今回の勝訴は、当然のことだと考えております。通信販売業界は、商品や広告の模倣に加え、競合会社や競合商品についての虚偽情報の流布も蔓延しております。このような不正な行為は、消費者の誤認やその誤認に基づく市場への信頼喪失を引き起こします。当社は、消費者保護及び業界の健全化の観点から、このような状態を改善する必要があると感じております。本件においては、知的財産法や民法が適用されず為す術がなかった不正な行為について、最高裁判決(最一小判平成23年12月8日)以後日本で初めて、民法上の不法行為が認められました。引き続き、消費者の保護や通信販売業界の健全化のために、法により規制されていなかった不正行為に対しても積極的に対応や監視をしてまいります」とコメントした。




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