KDDI、KDDIスマートドローン、日本航空、東日本旅客鉄道、ウェザーニューズ、メディセオは12月14日、東京都西多摩郡檜原村において、医薬品をドローンのレベル4飛行（有人地帯における補助者なし目視外飛行）で輸送する実証を開始する。1週間の運用を行い、技術面や制度面および運用面の課題を抽出し、ドローン輸送サービスの社会実装を目指す。
KDDI、KDDIスマートドローン、日本航空、東日本旅客鉄道、ウェザーニューズ、メディセオの6社は、12月14日～12月20日の期間、日本で初めて医薬品をドローンのレベル4飛行（有人地帯における補助者なし目視外飛行）で輸送する実証を実施する。
本実証は、東京都の「ドローン物流サービスの社会実装促進に係る実証プロジェクト」に基づき、都内におけるドローン物流サービスの早期の社会実装を目指すもので、レベル4飛行許可取得と医薬品配送ガイドライン対応に求められる体制および実運用上の課題の抽出を行う。
実証では、2023年12月の平日日中帯に、医薬品輸送サービスを想定したドローンのレベル4飛行作業を行う。東京都西多摩郡檜原村の「檜原診療所」と、同村の特別養護老人ホーム「桧原サナホーム」を結ぶ、有人地帯の上空を含む飛行ルート（往復約4.8km）を設定し、物流用ドローンの自律飛行による医薬品輸送を実施する。使用機体はACSL社製の「PF2-CAT3で、1日最大3往復を予定している。
各社の役割は、KDDIがプロジェクト全体の取りまとめ、KDDIスマートドローンがスマートドローンプラットフォームの提供とレベル4飛行における機体運航業務、日本航空がドローン物流ビジネスの策定・評価検証、東日本旅客鉄道がドローン物流ビジネスの将来的な実装場所にかかる検証、、ウェザーニューズが安全運航のための気象データ提供および助言、メディセオがドローンを利用した医薬品配送手順の策定および検証となる。
診療所や病院では、オンライン診療を行った際の処方薬など医薬品を郵送するケースがあるが、近年は物流分野の人手不足が社会課題となっており、ドローンの利活用に期待が高まっている。2022年12月に施行された改正航空法でドローンのレベル4飛行が解禁となり、制度上は民家の上空など有人地帯を飛行できるようになった。ドローン輸送サービスが実現すれば、輸送遅延が致命的となる医薬品を道路の渋滞時や災害時でも交通状況に左右されずに輸送が可能となる。本実証では、1日限りではなく1週間の運用を行うことで、実運用に向けた技術面や制度面および運用面の課題を抽出し、ドローン輸送サービスの社会実装を目指す。
今後は、2023年度中にドローンが自動で離着陸できるドローンポートを導入し、安全性や運航業務省人化の検証など、ドローン物流サービスの実装に向けてさらなる実証を行う予定としている。今回の実証によるサービス検証とあわせて、恒常的なドローンの飛行に必要な安全運航体制やビジネスモデルの検討を行う。
さらに2024年度には、都心部でのレベル4飛行を見据えた長期的なドローンのサービス実証の実行を予定しており、将来的には、ドローンを活用した街づくりの実現に向け、物流をはじめとする多様なサービスの展開を目指し、実証を進めていくとしている。
