2023.12.11

【コロナ後も伸びるECの秘訣】アルページュ 専務執行役員 野口英男氏「今期も二桁増収、ライブ配信は週30本」

アルページュ 専務執行役員 野口英男氏


TSIホールディングスグループでレディースアパレルブランドを展開するアルページュは、アフターコロナの現在でもEC売り上げを伸ばし続けている。EC売上高に占める自社EC比率は約80%と高い。その自社ECサイトを核に、店舗スタッフによるライブ配信など実店舗からの発信力も高めることで、顧客と深い関係性を構築できている。専務執行役員の野口英男氏に、本質的に価値のあるOMOの仕組み作りのために注力している点や、今後の展望について聞いた。



――展開しているブランドは?


当社では、6ブランドを展開している。20代~30代の働く女性向けのブランド「Apuweiser‐riche(アプワイザー・リッシェ)」から始まり、「JUSGLITTY(ジャスグリッティー)」、「Rirandture(リランドチュール)」、「Mystrada(マイストラーダ)」を展開してきた。3年前に40代前後の女性に寄り添うブランド「CADUNE(カデュネ)」を立ち上げた。自社ECサイト「Arpege story(アルページュストーリー)」から2年前にオリジナルブランドもリリースしている。

――ECサイトやOMOの展開状況は?

自社ECサイトは2012年に立ち上げた。2014年には、自社ECサイト「Arpege story」の名前を付けた実店舗を開設した。

2018年からECと実店舗の在庫連携を開始している。ECサイトから実店舗の在庫を取り寄せしたり、取り置きしたりできる。実店舗のスタッフは店頭在庫がなくなったら、ECの在庫を引き当て、店頭で決済してお客さまに販売することも可能だ。

――コロナ禍には、どのように販売を継続していたのか?

コロナ禍に実店舗とECの在庫連携の仕組みが生きた。実店舗にあまり在庫を積むことができない中で、実店舗で試着して、EC在庫からお客さまの自宅に届けるという販売スタイルができた。ライブ配信などの情報発信も強化し、ECで直接買っていただくお客さまも増えた。コロナ禍の2年間ほどでで自社ECサイトの売り上げは、180%くらい成長した。EC化率は40%台の後半まで高まった。


今期も二桁増収を維持


――現在のアフターコロナの状況において、EC売上高は落ちていないのか?

2023年2月期のEC売上高は前期比約15%増と伸びている。今期(2024年2月期)のEC売上高も二桁増のペースで推移している。

当社はEC売上高の中でも自社ECサイトの比率が80%くらいと高いのが特徴だ。自社ECサイトはブランドの情報を発信するメディアとしての役割も担っている。実店舗のスタッフによるライブ発信などを強化しており、実店舗を起点とした情報発信が自社ECサイトの利用促進にもつながっている。

OMOの仕組み作りができており、店舗スタッフの協力のもと、情報発信も高めることができていることで、お客さまとの接点が増えている。そうした体制ができていることで、コロナ禍でも新ブランドを立ち上げたり、新店を開設したりできた。新たなブランドや店舗が、新しいお客さまの獲得にもつながっている。

――実店舗からのライブ配信はどのくらい実施しているのか?

各ブランドがそれぞれ、1週間に3~4回はインスタライブを実施している。今年7月に開設した、全ブランドを取り扱っている「ARPEGE SALONE(アルページュサローネ)」では毎日、正午くらいからライブ配信をしている。会社全体では、週30回くらい実施していると思う。


▲「ARPEGE SALONE」では毎日、正午くらいからライブ配信をしている

ブランドからは週1回、新しい商品企画などのコンテンツを提供しているが、それを各店舗のそれぞれのスタッフがライブ配信で紹介するため、それくらいの回数になる。同じコンテンツでも、店舗のある地域で売れるものが異なっていたり、発信するスタッフによって着こなしやサイズ感、伝え方は異なる。お客さまは配信するスタッフが、「どう着こなすのか」「どう紹介してくれるのか」「何を実際買ったのか」など、興味を持って見ていただいている。

商品開発においてコラボしたモデルやスタイリストがライブ配信にゲストとして登場し、商品のこだわりなどを紹介するケースもある。開店前にゲストとライブ配信を行い、開店後にそのゲストを目当てにお客さまが来店されることもあり、実店舗の盛り上がりにも一役買っている。

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