2022.11.24

ゴールドウイン、OMO加速で売上拡大 リアルの「接客」「在庫」「サービス」をEC展開

システム部 ITストラテジーグループ マネージャー 冨田良介氏


「THE NORTH FACE」「Goldwin」「HELLY HANSEN」などスポーツ用品やアウトドア用品を販売するゴールドウインは、コロナ禍の巣ごもり需要に加えて、OMO(ネットとリアルの融合)施策を強化したことで、 売上高を順調に拡大している。2020年7月にECサイトのシステムと周辺環境をリニューアルし、本格的なOMO施策の展開を始めた。スタッフによるオンラインの取り組みや、新しい仕組みを利用した3種の客注サービスによる在庫流動化の促進などの取り組みは確実に成果につながっている。OMO戦略やECシステムのリプレイスなどの課題や成果について、システム部 ITストラテジーグループ マネージャー 冨田良介氏に聞いた。



EC売上16.4%増の131憶1000万円


――コロナ禍にEC売上高は伸びていますか?

2021年3月期のEC売上高は、前期比27.9%増の112億6000万円となり、EC化率は同3.4ポイント増の12.4%でした。2022年3月期のEC売上高は、同16.4%増の131億1000万円でした。EC化率は同1.0ポイント増の13.4%になっています。

コロナ禍当初は、リアル店舗の営業自粛や巣ごもり需要の拡大があり、EC売上高は大きく伸びました。その後も鈍化することなく、今期まで着実に伸び続けています。

2026年3月期には、EC化率30%を目指す計画を立てており、今後さらにさまざまな取り組みを強化していく方針です。

――2020年7月にECサイトをリニューアルした狙いは?

狙いは、オムニチャネル及びOMOの強化です。そのためにはECシステムのリプレイスのほか、周辺環境の統廃合も必要でした。かなり大きなプロジェクトとなりましたが、AMS社との懸命な協業のもと、ECシステムを中心にリプレイスが実現できました。ECサイトの機能を強化するだけではなく、直営店舗など当社の持つさまざまなリソースとECサイトを連携させるオムニチャネル・OMO施策を加速させるための基盤を構築しました。


▲ECサイトをリニューアル

――具体的にどのようなOMO施策を実施していますか?

分かりやすい取り組みとしては、全社の在庫流動化を狙った客注サービスの充実です。売上を伸ばしていくなかで、全社の在庫残高をコントロールすることはとても大事であり、そこをシステムの力でいかに貢献できるかという点が課題であり、目標でした。

客注サービスは、新しく実装した仕組みを含め、「スタッフオーダー」「ECコレクト」「店舗取り寄せ」の3種類を中心に展開しています。スタッフオーダーは店舗ご来店時にご希望の商品の在庫が店舗にないがEC側に在庫がある場合、ECの在庫を引き当てて店舗で決済を行い、商品は後日、ECのロジから出荷されるサービスです。ECコレクトは、ECサイトにアクセスされた際、EC側に在庫がない場合、全国の直営店の在庫データを確認し、在庫がある店舗に対して、その商品を代引きで発送依頼をかけるサービスです。店舗取り寄せは、EC上からECの在庫を店舗に移動依頼をかけ、指定店舗で受け取るサービスです。この場合、送料はかかりません。

スタッフオーダーとECコレクトはリプレイスを機に始めた新しいサービスですが、非常に好評ですね。実績面では全国のお客様のニーズにお応えできていると感じられる水準ですし、運営面でも社内や店舗スタッフからお礼を言われたりして、貢献できる取り組みになった実感があり、とても嬉しいです。


▲システム部 ITストラテジーグループ マネージャー 冨田良介氏

――OMOを推進する上で部署間の障壁はありませんでしたか?

私は2019年1月にゴールドウインにキャリア入社しました。入社後、すぐにOMO会議(当初はオムニ会議という名称)に参加し、ファシリテーターを務めさせてもらったのですが、それは多くの部署のさまざまな立場のメンバーが参加している会議でした。もちろん部署や立場によって意見が異なる面はありましたが、共通のゴールが明確にイメージできていたので、障壁はそれほど高くは感じませんでしたね。みんな課題を前向きに解決しようというスタンスだったので、会議をリードしやすかったことを覚えています。

オムニ会議では、現場のスタッフや部署ごとのリアルな課題や要望を聞くことができ、システム構築や施策を練る上で、とても参考になりました。

RECOMMEND合わせて読みたい

RELATED関連する記事

RANKING人気記事