2023.10.20

YouTube、デバイスやフォーマットのマルチ化を解説 小田切ヒロ、ライオン、サントリーなど動画活用術を公開


三井住友カード、学生向け動画施策で指名検索30%増


三井住友カードのマーケティング本部 部長代理 塚田ゆり氏は、YouTube広告活用により学生世代からの関心を効率的に獲得し、指名検索を130%に増加した事例を紹介した。

塚田氏は、「最初に選んだブランドを長年利用される方も多いため、人生で初めてクレジットカードを作ろうと思った若者世代のお客さまにしっかりと三井住友カードを選んでいただくことが、ビジネス成長の鍵を握ると考えている。そこで私たちは学生世代のお客さまへのアプローチを強化するべく、2022年2月に学生ポイントという新サービスをリリースした。サービス内容の紹介をメインの訴求としていた、当初の広告施策では学生への認知が目標に対して十分に獲得できていなかった。そこで2022年10月から実施したプロモーションでは、学生の価値観に寄り添い、彼らに提供するベネフィットを明確に伝えたいと考えた」と話す。


▲三井住友カード マーケティング本部 部長代理 塚田ゆり氏

新しいプロモーションのクリエイティブコンセプトは「学パ、あげてこ」だった。「学パ」は「学生生活パフォーマンス」という造語の略となっている。三井住友カードが学生生活をより良くするカードであることを表現した。ウェブプロモーション動画には、Z世代に人気のYouTuber「くれいじーまぐねっと」を起用した。


▲人気YouTuber「くれいじーまぐねっと」を起用したウェブプロモーションを展開

学生世代の価値観に寄り添ったクリエイティブを制作し、YouTubeには、サービス理解を促す役割を期待して、長尺のTrueViewインストリーム広告と6秒のバンパー広告を組み合わせて配信した。長尺動画を視聴した人とスキップした人に対して、それぞれ別のバンパー広告を配信してメッセージを出し分けることで、より効果的にサービス理解を促したという。



その結果、YouTube広告から検索に至る目標CPAは、14%削減することができた。目標として掲げていた指名検索数を30%増加させることができた。


ライオン、全世代への態度変容を効率的に実現


ライオンのヘルス&ホームケア事業本部 オーラルケア事業部 クリニカ ブランドマネージャー 今村健一氏は、博報堂 ビジネスプロデューサー 沼田尚大氏とともに、幅広い世代にデジタルでアプローチするマーケティング施策について紹介した。

ライオンの今村氏は、「実態として全世代がデジタルと深い接点を持っている時代だと思っている。クリニカは幅広い世代にご愛用頂いているオーラルケア市場で数量ナンバー1の全世代型ブランドだ。これまでテレビCMを中心に高い認知率を獲得してきたため、YouTubeなどのデジタル広告はリーチの補完として一定量を投下するという位置付けだった。しかし、今のお客さまのメディア接点を考えるとテレビ一辺倒が最適解ではないと考えた」と話す。


▲ライオン ヘルス&ホームケア事業本部 オーラルケア事業部 クリニカ ブランドマネージャー 今村健一氏

2022年にローンチした「クリニカPRO」が、YouTube広告の本格活用のきっかけとなった。新商品の浸透を一気に高めていきたいと考えたときに、既存の手堅いメディア戦略ではなく、YouTube広告を活用した。幅広い世代へ商品認知・特長理解を促し、態度変容までもたらす力があるのか試したという。



効果検証により、非接触者と比較して、テレビCMとYouTube広告の重複接触者の方が、特長理解が5ポイント向上したことが分かった。態度変容を向上させるYouTubeの有効接触回数は「3回」という基準も発見した。態度変容に必要なコストは、テレビCMと比べて3分の1だった。YouTubeの売上貢献は、11%増の効果が認められたという。


サントリーHD、複層的な広告戦略の正しい効果検証に挑戦


サントリーホールディングス(HD)のコミュニケーションデザイン本部 副本部長 兼 宣伝部長 鈴木あき子氏は、電通 第9ビジネスプロデュース局 マネージングディレクター 平野井宏典氏と横断型キャンペーンおけるマーケティングROIの検証について紹介した。

サントリーHDの鈴木氏は、「加速する生活者やメディア環境の変化においてマーケティング施策の効果を可視化し、次のコミュニケーションプランのヒントを見つけることに挑戦した。生活者のメディア接触状況はますます多様化し、マルチデバイス、マルチコンテンツが一般化している。コミュニケーションもお客さまに合わせた形で、接点ごとにコンテンツをカスタマイズしていかないといけない時代になっている。われわれの施策も従来のテレビCMを中心としたコミュニケーションから、より複層的に変化している。さまざまなアセットを複数のメディアにまたがって同時に発信している。しかし、複層的になることに伴い、施策ごとに効果を分けて検証することが難しく、どれが本当に有効だったかを見極めづらくなった」と話す。


▲サントリーホールディングス コミュニケーションデザイン本部 副本部長 兼 宣伝部長 鈴木あき子氏

サントリーHDは電通やグーグルとプロジェクトチームを構築し、統合メディアブランディングに取り組んだ。広告データ分析プラットフォーム「Google ADH(Ads Data Hub)」を活用し、テレビ、OOH、YouTube広告を含むデジタルの施策について、実接触ベースでリーチ、 態度変容、購買寄与を分析し、効果を可視化した。



複数ブランドで、テレビCMとYouTube広告の重複接触による効果を検証したところ、広告認知とブランド認知はそれぞれ最大13.9%と9.4%の増加、ブランド好意度は最大8.8%、ブランド購入意向は最大10.3%の増加が見られたという。





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