2023.08.09

野菜宅配の坂ノ途中、双日と資本業務提携 環境負荷の小さい農業を拡大へ

新規就農者をメインパートナーに、環境負荷の小さな農業に取り組む生産者の農産物を販売する坂ノ途中は8月8日、双日と資本業務提携を実施した。今後は双日と連携しながら、さらなる有機農業の普及や販路拡大、商品開発に取り組み、環境負荷の小さい農業の拡大に向けた取り組みの強化を図る。

農林水産省は、持続可能な食料システムを構築するべく、2021年に「みどりの食料システム戦略」を策定。現在、耕地面積の0.6%(2万5200ha)を占める有機農業の面積を2050年までに25%(100万ha)に拡大する目標を掲げている。

坂ノ途中は、「100年先もつづく、農業を」というメッセージを掲げ、農薬や化学肥料不使用で栽培された農産物の販売を行っている。提携農業者の約8割が新規就農者となっており、少量不安定な生産でも品質が高ければ適正価格で販売できる仕組みを構築することで、環境負荷の小さい農業を実践する農業者の増加を目指している。

このほど、大手総合商社の双日と資本業務提携した。双日は、全世界で自動車やプラント、エネルギーや金属資源、化学品、食料資源などのビジネスを展開。中期経営計画2023で「国内産業活性化・地方創生の取組を通じた価値創造」を掲げ、国産農作物の販路開拓や商品開発に取り組んでいる。

坂ノ途中は、これまで約400軒の農業者と連携し、少量不安定な生産でも高品質であれば適正価格で流通していく仕組みを作ってきたが、提携農業者からの供給量が季節によって大きく変動するため、ピーク時の買取量をどう増やしていくかが課題となっていた。


▲2022年5月〜11月における提携生産者のナス供給量週次推移(自社調べ)

今回の双日との提携により、現状野菜の主な販売方法としているBtoCのサブスクリプションサービスに加え、双日と連携しつつ新たな流通ネットワークを構築・拡大していくことで、小売店・飲食店向けのBtoB事業などを伸ばし、提携農業者のさらなる収入向上を目指す。

BtoBマーケットへの多様なチャネルや、農産物を使った商品開発のノウハウをもつ双日と業務提携することで、有機農業の拡大も見据えたシナジー効果を生み出していくとしている。今後も坂ノ途中は、環境負荷の小さな農業に取り組む人を増やし、持続可能な社会につなげていく考えを示した。

今回の取り組みにあたり、坂ノ途中 代表取締役 小野邦彦氏は、「坂ノ途中は2009年の創業以来、環境への負担の小さい農業を広げようというテーマで、こつこつと事業展開を続けてきました。14年の間に世の中は大きく変わり、農業x環境はそれなりにホットな話題になりましたし、坂ノ途中が生み出す社会的インパクトも、多少は大きくなってきました。今回、双日さんに資本参加いただき、いっしょに事業を加速させる機会を得たことは、坂ノ途中の取り組みが今までよりも厚みを増し、次の段階へ移行するための強力な後押しとなると考えています」と述べた。

双日 農業・地域事業開発室長 岡田拓真氏は、「双日は、農作物の生産・加工・販売とサプライチェーンに広く関わりながら、国内農業・地域活性化への貢献を目指しています。坂ノ途中との資本業務提携・協働の機会を得て、持続可能な農業の拡大に資する事業開発に取り組んで参ります」とコメントした。





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