中国消費者向け日本商品特化型越境ECプラットフォーム「豌豆（ワンドウ）」を運営するインアゴーラはこのほど、3世紀に渡り薩摩の大地の豊かさに支えられて酒造りを続けている西酒造と提携し、同社の新しい日本酒「天賦」の中国市場における展開の全面的なサポートを開始した。中国のさまざまなSNSを活用したオンラインマーケティングやオフラインでのブランディングによる認知拡大、多彩なセールスチャネルでの販売といった基本展開に加え、高級レストランとコラボした試飲会やイベントなど、「天賦」の特徴に合わせた中国展開をアレンジする。
インアゴーラは、「ショッピングに国境はない」をスローガンに、日本の優れた商品やサービスをインターネットを通じて中国向けに展開する越境EC事業、およびこれに伴うコンテンツ制作、物流、海外マーケティングなど複合的な付帯事業を展開。日本企業が海外進出を検討する際に課題となる「情報の越境」「物流の越境」「決済の越境」のすべてを解決する、ワンストップソリューション型のBtoBtoC越境ECプラットフォーム「豌豆（ワンドウ）プラットフォーム」を運営している。
このほど、西酒造と提携し、同社の日本酒「天賦」の中国市場における展開の全面的なサポートを開始した。
1845年創業の西酒造は、名門焼酎「富乃宝山」「吉兆宝山」「天使の誘惑」などで知られる名高い酒蔵。約180年にわたり培ってきた醸造技術を活かして、2019年には南半球の島国・ニュージーランドでのワイン造りと、錦江湾と御岳（桜島）を望む丘の上にある御岳蒸留所でジャパニーズウィスキー造り、さらに2020年には日本酒造りを開始。焼酎のみにとどまらず、ワインの「URLAR」、ジャパニーズウイスキー、日本酒の「天賦」を手がける。「天賦」は販売開始から3年未満にも関わらず、日本酒専門WEBメディア「SAKETIMES」の全国ランキング82位、鹿児島ランキング１位を獲得している。
インアゴーラはこれまで、丁寧な情報制作と中国独自の様々なSNS情報フォーマットに適したブランディングとオンラインマーケティング、試飲会やイベント等のオフラインマーケティングを通した認知拡大を図りながら、中国大手ECプラットフォームでのオンライン販売や飲食店・高級スーパーでのオフライン販売といった多様な販売手法を駆使することで、複合的に日本の酒蔵の中国展開をサポートしてきた。
今回、「天賦」との提携にあたり、インアゴーラの強みであるオンライン＆オフラインのマーケティング、ブランディングを中国展開の初期段階として実施するとしている。すでに2022年9月より、中国版Tiktok「抖音（Douyin）において「天賦」のテスト販売を開始しており、その反響の多さから注目度の高さを感じているという。今後、継続的にブランド価値を多くの中国消費者に伝えた後、マーケティングの効果をセールスに波及させ、多様な販路での販売強化を図る。
▲インアゴーラが支援する中国展開の概要具体的には、販売ステップの1つ目として、中国ECにおいて大きな成長市場となっており、初期段階で中国消費者にリーチできる手法として定着している「Douyin」でのライブコマースを活用。日本酒の紹介を専門とするKOLを通して、「天賦」のブランディングを図りつつ、認知度の拡大を目指す。
ステップの2つ目として、インアゴーラが「天猫」「天猫国際」「JD.com」といった中国大手プラットフォームに開設している日本酒に特化した専門店舗において、広い層への販売を強化する。ライブコマースで認知度を上げたのち、他プラットフォームでの検索による商品販売にも繋げ、さらなる販売強化を目指す。
3つ目のステップとして、日本酒の最大消費ポイントであるレストランや居酒屋、高級スーパーへ展開を拡大。オフラインでの展開により、販売のすそ野を広げていくとしている。「天賦」の商品力と、インアゴーラの中国市場における展開力をかけ合わせることで、中国市場でのブランド認知向上、販売支援を推進していく考えを示した。
財務省貿易統計によると、日本の中国向け日本酒輸出は、新型コロナウイルスの影響が出た2020年を除いて増加を続けている。2021年には、数量で前年比52.3％増の7268キロリットル、金額で同77.5％増の102億8000万円となり、過去5年間で約4倍に成長している。2022年も新型コロナウイルスの影響がありながらも、過去最高額の約141億6300万円（前年比37.8%増）を更新。輸出先としては、輸出金額でアメリカを抜いて中国が最大となっており、成長性の高い市場となっている。
▲日本酒の対中国輸出額推移インアゴーラは、今後もより多くの日本商品を中国の消費者に紹介し、日本の商品とライフスタイルを楽しんでもらう場を届けるとしている。
