2023.06.23

スキャンディット、配送業務に関するグローバル調査レポートを公開 日本のドライバーの78%が配達量増加を指摘

スマートデバイスを介してバーコードや文字、IDなどをデータとしてキャプチャする「Scandit Smart Data Capture」を展開するスキャンディットは6月14日、世界11カ国の配達ドライバーを対象とした運輸・配送業界の現状を調査した総合調査レポート「グローバル調査レポート - 日本におけるラストワンマイルを担う ドライバーテクノロジー」を発表した。日本のドライバーの78%が配達量の増加を指摘しており、配送ドライバーの役割の変化、業務で使用しているテクノロジーへの不満などが明らかにされた。

スキャンディットは2022年8月に、Opiniumと共同で、世界11カ国の市場で、荷物および郵便物の配送を行うドライバーを対象に調査を実施した。対象となったのは、イタリア、インド、英国、オーストラリア、スペイン、ド イツ、日本、ブラジル、フランス、米国、メキシコのドライバーで、1217名の回答を得た。

このほど、同調査の結果をまとめたの総合調査レポート「グローバル調査レポート - 日本におけるラストワンマイルを担う ドライバーテクノロジー」を発表した。2部構成から成るレポートの第2弾となる。

調査では、日本人ドライバーの78%が、「過去5年間で配達量が増加した」と回答。平均して6分半に1つの荷物を配送し、1人のドライバーが1時間ごとに9つの荷物を配達していることが明らかになった。

また、65%の日本人ドライバーが「異なる配達先への配達を完了しなければならなくなった」、71%が「より速く業務を遂行することが求められるようになった」、76%が「配達証明の写真提供などの新しいタスクが増えた」と回答するなど、業務内容の変化による業務量の増加は、深刻さを増している。

スキャンディットの共同創業者で、最高経営責任者であるSamuel Mueller(サミュエル・ミューラー)氏は、調査の結果を受け、「スキャンディットの調査により、配達員が限界ぎりぎりまで働いていることが明らかになりました。配送会社は、消費者の需要に応えるために革新的で多様なサービスを提供していますが、最前線にいるドライバーは、役割の変化、荷物量の増加、迅速な配達に対する消費者の大きな期待にプレッシャーを感じています。この重要な労働力を確保し、サポートし、維持するために、適切なテクノロジーを導入することが、今、配送会社に求められているのです」と述べた。

日本のドライバーの84%が玄関先での配達証明、年齢や IDの確認、カーブサイドでの荷物の確認、業務中の顧客や本社との連絡など、配達業務をスマートフォンで行っていることが本調査で明らかになった。専用スキャニングデバイスを使用している配送ドライバーはわずか12%で、4%は配送を追跡するためのデバイスを全く使用していなかった。

さらに、日本のドライバー86%が配送業務に使用するデバイスの機能不足に不満を感じていることがわかった。専用のスキャンデバイスであれ、スマートフォンであれ、ドライバーの23%は1度に1つのバーコードしかスキャンできないことに不満を感じていた。読み取れないバーコードのスキャンに苦労した経験を持つ人が33%、薄暗い環境でのスキャンに苦労している人が28%いることもわかった。

使用するデバイスの種類にかかわらず、多くのドライバーはこれらのテクノロジーの機能を最大限に活用できておらず、世界中の回答者の43%は「業務上の2つ以下のタスクにしかデバイスを使用していない」と回答している。スキャンディットでは、ドライバーの誰もが持っているであろうスマートフォンに「Smart Data Capture」を追加することで、配送・運送企業は複雑で高価な複数のデバイスを用意することなく、不満を抱えているドライバーに対して改善されたスキャン機能と機能性を簡単に提供することができるとしている。

こうした業務量の増大と変化は、人材不足と定着率の問題によってさらに深刻化している。回答者の47%は「過去5年間に人材不足が増加した」と回答した。さらに新しい労働基準法では、2024年4月からドライバーに年間 960時間の時間外労働の上限が課されることになった。この上限規制により、将来的に2027年までに24万人のトラックドライバーが不足する可能性があることが予測されている。

こうした状況において本調査では、過去2年以内に転職を経験した日本人ドライバーは74%で、そのうち47%が1年以内に転職を経験していることが判明した。70%が配送の仕事をしていたため、これらの多くは業界内での転職をしていることもわかった。39%が配送と別の仕事をかけ持ちし、12%が2つ以上の仕事をかけ持ちしていること、さらに回答者の中には最大で7つの職を持つ人もいることが明らかになっている。

このように流動的で離職率が高いにもかかわらず、日本のドライバーの89%が「現在の雇用主を勧める」と回答しており、配送業界は労働者にとって魅力的な業界だと言える。さらに柔軟な働き方ができるため、さまざまなキャリアや活動を追求することができるという特徴も備える。例えば世界的に見ると、2つ以上の職を持つ人の29%は管理職、23%がクリエイティブやIT職、18%が配管や建築などの技能職に就いている。

スキャンディット ジャパンの日本事業責任者である関根正浩氏は、こうした結果について、「配送業界は、予測できない需要の増加に対応するため、柔軟性の高い労働力を必要としており、その大部分はギグワーカーやパートタイムとして雇用されるケースです。スキャンディットが日本で調査したドライバーの70%は、以前にこの業界で働いた経験があり、給与や福利厚生の充実だけでなく、柔軟な勤務形態、企業ブランドの評判、さらに求められる役割を果たすための高性能なテクノロジーの提供を強く求める傾向にあります」と述べた。

日本では、期限付き受託業者(6カ月~12カ月雇用)とギグワーカーの比率が37%対63%で、49%対51%という世界的な比率とは大きく異なっていることが本調査で明らかになった。

雇用形態にかかわらず、配送ドライバーは雇用主に5つの要素を求めている。給与(39%)と福利厚生(26%)が重要であることは明らかだが、日本ではワークライフバランスが重要視されており、世界平均の40%を大きく上回る50%のドライバーがこれを重視しているほか、32%が「企業の評判に基づいて新しい雇用主を選ぶ」と回答している。さらに日本のドライバーの約3分の1にあたる31%が、仕事をする上で提供されるテクノロジーの種類によって配送の役割を分担しており、これは世界平均の26%よりも多くなっている。

こうした結果から、ドライバーを惹きつけ、能力を高め、役割のあらゆる側面を適切にサポートするには、効果的なテクノロジーを提供することが鍵となる。スマートフォンは使い慣れたデバイスで、操作も分かりやすく、BYOD(Bring Your Own Device)モデルが導入されているギグワーカーにとって理想のデバイスであるとし、「Smart Data Capture」を使えばドライバーはラストワンマイルのワークフロー全体で幅広いタスクを管理できるようになるとした。

調査対象者の86%が車へ荷物を積むため、81%が荷台で荷物を探すためにデバイスを使用していないと回答。さらに69%がID認証を有効にしていないことが判明したとし、これらのすべてをスキャンディットの「Smart Data Capture」のテクノロジーで実現することができるとの見解を示した。





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