九州の地酒や焼酎、日本酒などの酒類を販売する中野酒店は、他社にない品ぞろえでECサイトでも差別化を図っている。地元の小さい酒蔵の日本酒や、同社の農園で採れた野菜の加工品を販売し、「ここでしか買えない」という特別感を出している。
ECサイト「なかの酒店」では、地元の酒類のほか、野菜の加工食品を販売している。朝倉市三奈木で作っている「タチバナ醤油醸造」のしょうゆは、ほかのECサイトでは販売しておらず特に人気の商品だという。
▲「タチバナ醤油醸造」のしょうゆ「もともと地元の人に買っていただきたいと思っていたが、実際は東京や大阪在住の人からの購入が多く、当社のサイトが広まっていると感じている」(中野代表)と話す。
九州ならではの商品を販売するという方針で、しょうゆの販売を開始した。酒類のECサイトに訪れるというハードルを下げるため、食と酒のつながりを重視し、食に関わる商品の販売もしている。
農業も営んでおり、栽培した野菜で加工食品を作っている。
「無農薬で栽培した青唐辛子のしょうゆベースの調味料を販売している。当社のECサイトでしか販売しておらず、人気商品だ」(同)と言う。
▲無農薬の調味料実店舗では、調味料に漬け込んだ肉を冷凍で販売している。酒のつまみとして人気があり、ECサイトでも今後、冷凍食品を販売することを検討しているという。
調味料のほかに、干しイモなども販売もしている。イモ関連商品は人気が高いということもあり、今後は完売しないように在庫数を増やす予定だ。
加工食品のラインアップを拡充し、夏ギフトに向けて準備中だという。「実店舗ではお中元やお歳暮でのギフト需要が多いことを踏まえ、ECでもギフトを強化していきたい」(同)と言う。
珍しい商品や、他社にない商品で差別化を図ると同時に、SNSに力を入れて認知拡大に努めている。実店舗は福岡に1店舗あるが、車でしか行くことのできない辺ぴな場所だ。
▲福岡の実店舗認知を拡大するため、ここ数年でフェイスブックとインスタグラムの運用に力を入れている。実店舗には掲示板があり、そこでSNSとの導線を作っている。
「新商品などの投稿をすることで、コアなファンなどが見てくれることも多くなった。当社を知らなかった人に認知が広がっていると思う」(同)と言う。
コロナ禍での「リモート飲み」需要でECサイトは一時盛り上がったが、今は落ち着いてきている。今後は酒蔵の思いなどをサイト内でしっかりと伝え、ファンを増やしていきたいという。
新規顧客の獲得が課題のため、引き続きSNSを強化し、ファン獲得を狙う。