2023.06.20

【MonotaRO取り組むサプライチェーンの高度化とは?】常務執行役員 田村咲耶氏「購買データを駆使、あえてのアナログ戦略へ」

MonotaRO 常務執行役員 サプライチェーンマネジメント部門長 田村咲耶氏


BtoB通販大手のMonotaRO(モノタロウ)は、通販の手法に「現場の味方」という現場主義の戦略を投じて、創業から23年余りが経過した。2022年12月期の連結売上高は2259億円超、時価総額は約1兆円前後に伸長した。今後のさらなる成長のために同社が取り組むのは、サプライチェーンの高度化だ。あらゆる事象をデジタル連携し、最適化していく。最適化の結果が業績にも反映される。2023年は、収集している購買データなどを収集・分析し、それらの情報を駆使したチラシ配布などのアナログ戦略を推進していく。常務執行役員のサプライチェーンマネジメント部門長である田村咲耶氏に、マーケティング戦略について話を聞いた。



――前期の振り返りについて。

サプライチェーンの分断やコロナによるロックダウン、為替相場の変動など日々変わる情勢に苦しんだ。しかし、在庫の積み増しや価格改定などさまざまな施策を投じて、ほぼ計画通りの数字で着地した。なかでも、大企業の連携が著しく成長した。国内売り上げのうち23%を占めるまでに伸長し、当社を支える基幹事業になっている。

また、約450億円を投資した新物流施設「猪名川DC」が本稼働した。今後さらに成長していく土台が作られた1年でもあった。


継続的購入はデータ施策


――マーケティングという視点から成長戦略を聞きたい。

1度購入した顧客が、その後も継続して購入する取り組みだ。その核となるのが、2000万点ある商品数と購入者に基づくレコメンドとなっている。

ただ、2回目購入に進む顧客数は減少するため、獲得顧客あたり2回目購入単価は減少する。しかし、1度定着すると、あれもこれもという具合で購入の頻度や数が増えていく。

1度購入して以降の購入データを、裏側で管理し分析している。定着後の売り上げは、確実に上がっているという結果が出ている。

重要なのは、顧客に合わせた商品を随時提供していくこと。そして、関連性が高い商品を提案するレコメンド精度の高さも成長要因の一つだろう。


ロングテール戦略が鍵


――新規顧客獲得はどのように?

ロングテール戦略が鍵を握る。当社のサイトに来る理由はさまざまある。ただ、一番は「モノタロウに在庫があったから購入する」という入り口だ。この入り口になるのがロングテール商品となる。当社にとってロングテール品の品揃え強化が新規顧客獲得につながっている。

併行して、SEOやウェブ広告なども運用している。運用しながら、検索の包囲網を広げつつ、「モノタロウに商品があった」という出会いも顧客獲得の一つだ。

他にも、従来、複数入りの商品を1個単位で提供し、一つ一つのアイテムをコンテンツ化して販売している。1個単位にする場合の小分け作業は、自動化できず、人的作業でバーコードを貼り付けて商品化している。

1個単位での販売力と品揃え、当日出荷などが上手に循環して、新規の顧客獲得にもつながっている。

ーー新規顧客の獲得単価について。

マーケティング費用ではなく、広告宣伝費での扱いになる。昨年、宣伝費は売り上げの3%程度となった。ただ、今年は0.1%下げている。一方、広告費を抑えつつも、新規顧客の獲得コストは上がっている。新規獲得は、見直しの時期に入っており、転換期にあるとみている。

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