「eBay」、越境EC事業者の実態調査 66％超が「円安の影響」をポジティブに評価

オンライン・マーケットプレイス「eBay（イーベイ）」への出店を通じ、日本セラー（販売者）の越境ECを支援するイーベイ・ジャパンはこのほど、「eBay」を通じ越境ECビジネスを展開している日本セラー（販売者）を対象に、越境ECに関する実態調査を実施し、その結果を公開した。1年以内に「eBay」越境ECを始めたセラーの8割以上が副業、兼業でビジネス展開しており、円安の影響は全体の6割以上がポジティブに感じていることがわかった。現在の越境ECにおける課題の上位には、「国際送料」「商材のリサーチ方法」「手数料」が挙がった。

イーベイ・ジャパンは、2022年11月16日～11月30日に、イーベイ・ジャパンの越境EC支援サービスを利用している法人、個人事業主、個人を対象に「越境ECに関する実態調査」を実施した。対象者は871名（男性74.1％：女性25.5％）で、年齢は20代～70歳以上、eBayセラー歴は1年未満が最多の31.0％のほか、「1～2年程度」が27.1％、「3～5年程度」が21.9％、「6～9年程度」が12.3％、「10年以上」が7.7％。



eBayセラーとしての業務形態をたずねたところ、全体では「個人事業主：兼業」（25.9％）が最も高く、｢個人：副業（他に本業あり）｣（22.3％）、｢個人事業主：本業｣（22.2％）と続く結果となった。セラー歴別で見ると、「1年未満」のセラーは約8割が副業・兼業でビジネスを展開しているのに対し、「10年以上」のベテランセラーでは法人化や本業の割合が増え、個人で副業（兼業）として「eBay」を始めた人が経験を積むに従って、個人事業主～法人化と業態を変化させている傾向が見えたとしている。

英語力をたずねた問いでは、「基礎英語レベル」が最多の56.5％だった。「基礎英語以下レベル」（6.9％）と合わせると、全体の6割以上が「基礎英語レベル」またはそれ以下で、翻訳ツールなどを活用していることがわかった。英語で基本的な業務、メールの確認などが可能な「日常会話レベル」は21.9％だった。



越境ECビジネスにやりがいや喜びを感じるときについてたずねたところ、「購入者に喜んでもらえた時」（77.3％）、「売り上げが伸びた時」（72.4％）、「海外の方とのコミュニケーションがうまくいった時」（55.1％）が上位にランクインした。この結果から、売上だけでなく、バイヤー（購買者）とのコミュニケーションや、セラー自身の戦略や工夫がうまく販売につながった際に喜びを感じる傾向にあるようだとしている。



「eBayセラー」として昨今の円安の影響についてどう感じているかをたずねた問いでは、「良かったと感じる」が44.7％、「やや良かったと感じる」が21.6％と、全体の約66％が円安をポジティブに捉えている結果となった。自由回答でも「輸出ビジネスを盛り上げていく中で大きな追い風であると感じている」「ドル高で売り上げが上がって良かった！」というような意見が見られた。

「あまり良くなかった」（2.3％）、「良くなかった」（2.4％）のネガティブ寄りな回答をしたセラーは全体では5％未満と少数だが、セラー歴が長いほど冷静に見るのか、10年以上利用者においては9％が「あまり良くなかった」「良くなかった」と感じており、「他のセラーも条件は同じなので特に良いとは思いません。また、大きく円高に戻ることもあるので現在のレートで計算していると大きな赤字になる可能性もある」という意見もあった。

越境ECビジネスに取り組む中で感じる課題をたずねたところ、全体では｢国際送料｣（56.3％）が最も高い結果となった。コロナ禍でクーリエ（国際宅配便）が発送手段のメインになったことや、円安の影響で送料も上がったことが影響しているようだとしている。2位は「出品商材のリサーチ方法」（50.5％）、3位は「販売にかかる手数料」（41.8％）と続いた。



上記の質問の回答をセラー歴別で見ると、１～2年程度では「出品商材のリサーチ方法」（61.9％）、10年以上では「発送手段｣が（43.3％）が他に比べ著しく高い結果となり、セラー歴に応じて課題も変化することがわかった。

イーベイ・ジャパンは本調査の結果、「eBay」を手軽な副業から始め、翻訳ツールなどを活用しバイヤーとのコミュニケーションを楽しみながらビジネスを拡大。将来的にはオーナーとして自立していくセラー像が見えてきたとの見解を示した。新型コロナウイルスの影響や為替変動など予測できない状況にも、セラー歴に応じて臨機応変に対応しているようだとし、初心者からベテランまで、セラーの経験や課題に応じて選べる様々なサービスやコンテンツでサポートしていく考えを示した。