2023.03.15

スーパー・ドラッグストア向けECプラットフォーム「Stailer」の10Xが15億円調達 メガバンク・地銀等から借入

スーパーマーケット・ドラッグストア事業者への小売向けECプラットフォーム「Stailer(ステイラー)」を展開する10Xは3月13日、メガバンク、地方銀行、ベンチャーデットファンドなど複数の金融機関等からの借入等により、15億円の資金調達を実施した。地域の金融機関と連携し、買い物弱者など地域社会の課題解決を図り、事業拡大の加速を目指す。

10Xが運営する「Stailer」は、スーパーマーケットやドラッグストアといった小売・流通事業者向けのECプラットフォーム。ユーザー向けのアプリ、バックヤード向けのピックパック・配達管理アプリ、受注管理・在庫管理システム、BOPIS(店舗受け取り・ドライブスルー受け取り)など、小売ECの事業成長に必須なシステムをフルセットで提供している。

10Xは、「Stailer」の提供を通じ、日本全国で増加する買い物弱者・共働き世帯・子育て世帯等への便利な買い物体験の提供・負荷軽減や、小売の現場で働く従業員の業務負荷軽減・効率化を通じた人手不足問題の解消など、地域社会に関わる社会課題の解決を目指している。

このほど、静岡銀行、三井住友銀行、三菱UFJ銀行、山梨中央銀行、Fivot、SDFキャピタル、Yoiiからの借り入れ等により、総額15億円の資金調達を実施した。今回の事業拡大においては、資本コスト最適化のため借入も積極的に活用し、日本全国でのスーパーマーケットやドラッグストアのDXを推進する。また、地方銀行等との連携を深めることで、都市圏だけでなく課題先進地域などの地方が抱える社会課題の解決にも注力する考えを示した。

「Stailer」は、2020年のローンチ以降、全国多数の小売事業者への導入や成長支援の実績を上げ、プラットフォームとしての提供価値を拡大しており、「Stailer」による小売支援モデルの再現性が増してきていることが、今回の借入での調達に繋がったとしている。

10Xは「Stailer」を通じて、スーパーマーケット・ドラッグストアなどの小売事業者のDXを推進しており、2020年の提供開始以降、コロナ禍を経て小売事業者のEC参入へのニーズは非常に高い状況にある。特に近年は、都市圏以外の中規模・小規模スーパーマーケット事業者からも「地域の高齢化するお客様への選択肢としてネットスーパーを開始したい」「現場のオペレーション負担は最小限に抑えながらできることを模索したい」等の相談が増加している。

また、全国の市町村のうち86.4%が「食料品の買い物が不便・困難な住民に対する対策が必要」としており、平成27年度以降増加傾向にあるなど、日本全国で買い物弱者が今後増加し、社会課題が顕在化することが予想される。さらに政府が2022年11月に発表した「スタートアップ育成5か年計画」内の「第2の柱:スタートアップのための資金供給の強化と出口戦略の多様化」において、「銀行等によるスタートアップへの融資促進」や「地域金融機関による大企業と地域のスタートアップのマッチング」を推進することが発表されている。

こうした状況のなか、地域社会に強いネットワークを持つ金融機関との連携を深めることで、各地域の小売企業のDXを共同で支援していくとともに、地域の生活者に対するネットスーパー・ネットドラッグストア等の買い物手段の紹介・利用支援をともに推進するべく、今回の資金調達実行に至ったとしている。

「Stailer」は、全国で展開するスーパーマーケットやドラッグストアに導入されており、2023年中に新たな都道府県での導入も決定している。今後、各地域の生活習慣や食文化を継承しながら全国に導入を拡大し、各地域の課題解決を目指す考えを示した。

10Xでは、社員が自ら地域社会での顧客の生活実態や課題を理解する一助として、社員が日本全国から参画できる制度「10X Workstyle」を採用しており、さまざまな地域からの入社者や、首都圏から地方へ移住する社員が増加している。地域の特性を尊重しながら、小売パートナーとともに各地ならではの使われ方や現場のオペレーションに寄り添ったDXを推進していくとしている。

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