2022.12.10

「@cosmeベストコスメアワード2022」、総合大賞はKATE「リップモンスター」 2022年話題のコスメを総括


新たな消費傾向「バズロングセラー」


これらの全体行動から見えてきた新たな消費動向として、「バズ」と「ロングセラー」を掛け合わせた「バズロングセラー」を挙げた。この言葉には、「一過性で終わらないバズ消費」と「発売から年月が経った商品が掘り起こされるバズ消費」の2つの意味があるとしている。

クチコミ内で最も多く「バズ」というワードが出現した商品は、総合大賞に選ばれた「KATE」の「リップモンスター」であり、「一過性で終わらないバズ消費」という今年の流れを象徴する商品と言える。マスク着用の影響を受け、一時は消費が大きく落ち込んだリップカテゴリだが、厳しい状態が続いていた2021年の5月に発売された本商品は、マスクにつきにくい・色落ちしにくい「機能性」に加えて、使用感・品質の良さ、誰でもアクセスしやすいドラッグストアを販売チャネルとする「利便性」、売り切れ続出の「希少性」、更には SNSを中心とした「盛り上がり」と、様々な相互作用が大きな支持に繋がり、発売からわずか半年で「@cosmeベストコスメアワード2021」の総合第3位まで上り詰めたリップカテゴリのスター商品だった。

発売から1年半経過した現在でもその勢いは衰えておらず 支持され続ける背景には、生活者にとってまだまだマスクにつかない商品に対するニーズが高いことがあるとする一方で、指示され続ける理由はそれだけではなく、ミニサイズや限定色の発売、下半期リップ新人賞に選ばれた「KATE リップモンスター スフレマット」の発売など、コレクション欲をくすぐる飽きさせないコミュニケーションも後押しとなっているとの見解を示した。



一時的な話題で終わらず、長期間にわたって話題になり続けることで、どんな化粧品を買えば良いかわからないライトユーザーにも情報が届き、「この商品を買えば間違いない」という印象を与えたことで、美容感度の高いユーザーとライトユーザーの両者を取り込み続けることに成功したことが、異例のロングヒットに繋がったのではないかとした。

総合大賞の受賞にあたり、花王の化粧品事業部門 マステージビジネスグループ KATEブランドマネージャーの岩田有弘氏は、「コロナ禍でマスク着用が常態化し、化粧品全体の売上げは低迷、その中でも口紅の売上が激減している中、リップモンスターは誕生しました。コロナ禍において口紅は求められていない、という世の中の風潮はありましたが、KATEメンバーはマスクを着用していても毎日口紅をつけていましたし、SNSでも美容関心層を中心に『マスクをしていてもメイクを楽しみたい』という声を目にしていたので、“どんな時でもメイクを楽しみたい”というニーズは絶対にあるはずだという確信を持ち、開発を始めました。マスクを着用していてもメイクを楽しみたい、というニーズに応えるため、機能面においては、マスクにつきにくいということはもちろん、つけたての色がそのまま持続するという点にもこだわりました。そして機能性に加え、落ちにくい最強のリップを表現した商品名『リップモンスター』、SNSで思わずつぶやきたくなる色名など、メイク欲を掻き立てる仕掛けを施しました。また、モンスターをあしらったミニサイズや新色、スフレマットタイプと次々と新作を展開し、お客さまのワクワクを途切れさせない工夫をしています」とコメントした。

「一過性で終わらないバズ消費」の流れは、総合大賞以外の商品にも表れている。今回、総合第4位、ベスト美容グッズ第1位、@cosme STORE ベストヒット賞 総合第5位にランクインした「&be(アンドビー)」の「ブラックスポンジ」は、2020年4月に発売され、一時は欠品するほどの人気が集中した人気商品で、2021年の「「@cosmeベストコスメアワード」でもベスト美容グッズ 第2位を受賞している。2022年も人気は衰えず、総合第4位まで順位を上げた。


▲&be(アンドビー) ブラックスポンジ

総合第8位、ベスト洗顔料第1位、価格別賞 ミドルプライス部門 洗顔料第1位、@cosmeSTORE ベストヒット賞 総合第3位となったスクラブ入り洗顔料「KANEBO」の「カネボウ スクラビング マッド ウォッシュ」も発売は2021年3月。角質や毛穴ケアに効果的と人気を集め、すで多くの受賞歴がある人気商品で高い人気を保っている。


▲「カネボウ スクラビング マッド ウォッシュ」

前述のユーザーアンケート結果を鑑みると、慎重な生活者にとって一過性で終わるバズに乗ることは「タイパが悪い」「安易に選択すると失敗するかもしれない」消費行動である可能性がうかがえる。そのため一過性で終わらない「バズ」と「ロングセラー」を掛け合わせた新たな消費動向は今後も続いていきそうだとし、企業においてもロングセラーなバズを念頭においた商品発売やコミュニケーションが求められそうだと推察している。


名品発掘でバズる


「バズロングセラー」のもう1つの特徴として、SNSの浸透により、発売から年月が経っている隠れた名品が掘り起こされるタイプのバズ消費を挙げた。今回総合3位にランクインした「NARS」の「ライトリフレクティングセッティングパウダー プレスト N」は、2013年に発売された商品だ。昨年からSNSをきっかけに人気を集め、2021年についにベストパウダー第1位を受賞。発売開始から初めての受賞となった。2022年も人気の勢いは止まらず、「@cosme」の購入者のクチコミ件数は昨年と比較して約2.4倍に増加、総合第3位まで順位を伸ばした。

ベストヘアケア1位に輝いた「オルビス」の「エッセンスインヘアミルク」も2011年の発売から10年を超える2022年に突如SNSで話題となり、初めてベストコスメアワードを受賞。クチコミ件数も昨年度と比較して約8倍と大きく増加した。その他にも発売から年月が経っている商品が掘り起こされ、クチコミ件数を伸ばし、受賞に至ったケースが多数見受けられた。生活者には、新たに出会った商品は発売の時期に関わらず、すべて新鮮に捉えられているのだろうとし、バズはいまや新商品に限らず、すべての商品にチャンスがあると言えそうだとしている。



「バズロングセラー」以外の特徴的な動きとしては、美容グッズへの関心の高まりを挙げた。総合には、第4位に「&be」の「ブラックスポンジ」、第5位に「uka」の「uka スカルプブラシ KENZAN」と2商品がランクインした。集計期間中に「美容グッズ・美容家電」に投稿された購入者のクチコミ件数は、2021年度と比較して約1.3倍に増加。特に&be(アンドビー)「ブラックスポンジ」をはじめとする「メイクアップグッズ」は約1.4倍と増加率が高い傾向にある。



さらに下半期美容グッズ新人賞には、ロージーローザの「マルチファンデブラシ」がランクインした。メイクアップグッズを使用することで商品の力をより引き出すことができたり、メイク自体のクオリティをあげることができたりと、テクニック要らずで「底上げ」が図れる点が魅力的だと捉えられているのかもしれないとしている。マスク生活は続いているものの、外出機会と共にマスクを外す機会が格段に増えたことで、崩れにくいメイクテクニックに対する注目がさらに高まったこともメイクアップグッズへの支持の理由の1つと言えるとしている。


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