2022.08.24

【越境EC進出〈北米編〉】高い購買力を持つ市場にアプローチ 海外ユーザーにとって日本製品は『一種のセール状態』


【佐治陶器】日本の伝統工芸品「土鍋」 円安が追い風になり人気に


土鍋などのキッチンツールを販売する佐治陶器は、「日本の伝統工芸品」というアプローチで、北米市場の需要を開拓している。現在は、円安も追い風になっているという。

同社では国内外で、伝統工芸である萬古焼(ばんこやき)の職人の技術によって仕上げられた土鍋などを販売している。

卸問屋として卸販売を行っているだけでなく、輸出入やOEM開発、自社オリジナル商品の製造も行っている。

同社の商品は、北米やカナダで人気を集めているという。「地域ごとに人気のデザインは異なると感じている。北米のEC市場で好まれるのは、シンプルで洗練されたデザインだ」(同社)と話す。

同社では、高価格帯の商品を取り扱っている。「ECでの購入者の多くは、アッパーゾーンの商品を購入してくれる。『日本の工芸品』であることが、好まれている。海外在住の日本人の購入もある」(同)と言う。

「最も重視しているのは写真だ。写真の内容によって、販売数が大きく変わる。そのため、写真は外注するようにしており、ブランドの世界観の表現にもこだわっている」と話す。「商品単体の写真だけでなく、使用シーンをイメージできるような画像を、複数枚用意するようにしている」と話す。


▲使用シーンをイメージした、土鍋「萬福」

萬古焼は、適切な手入れを行うことで、より長く使用できるのだという。手入れの方法などを記載した、商品に同梱する説明書は、「日本語」「英語」「中国語」の計3カ国語に対応しているそうだ。

「円安は、北米市場での追い風となっている。海外の人にとっては、一種のセール状態であるため、購入が増えている」と言う。一方で、商品の原料の一部は海外から仕入れていたりもする。プロダクトの製造時に使用するガスも値上げされている。商品の価格も徐々に上がっているという。昨年と比べて30~50%値上がりしている商品もあるそうだ。

「造り手の減少による、生産量の問題もあり、一部の商品は欠品している。仕入れや生産の調整が重要だと考えている」と話す。

同社のECサイトを見た事業者から、直接連絡があり、取り引きが始まることも多いという。ECサイトの存在が海外の販路開拓にもつながっている。同社のECサイトは、ユーザーが言語を、英語に切り替えることができるとしている。





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