なぜ「商品説明」を拡充できないのか?
ナノ・ユニバースのECサイトでも商品画像にコメントを添えたコンテンツを商品詳細ページに掲載することで、効果的に商品の魅力を訴求できている。商品の利用方法やディテールの説明、こだわりのポイントなどを分かりやすく紹介できている。
▲ナノ・ユニバースでは画像にコメントを添えて商品の魅力を訴求多くのECサイトが、このような「商品説明コンテンツ」を作成できない要因はどこにあるのだろうか。1つにはシステムの問題があるようだ。
作り込んだ商品詳細ページを作るためには、ECサイトをコーディングできるエンジニアが必要になる。ただ、エンジニアが社内にいても、商品点数の多いECサイトですべての商品ページを作りこんでいくのは不可能だ。
カスタマイズできるECのパッケージシステムやプラットフォームを導入し、商品詳細ページ専用のCMSを構築することができれば、ナノ・ユニバースのような作り込んだ商品詳細ページを量産できる。
visumoの井上取締役は、「ECシステムのカスタマイズには、それなりの費用や時間が掛かります。もっと手軽に導入したいといEC事業者に『visumo comment』が好評です。画像とコメントを組み合わせたコンテンツをタグを埋め込むだけでECサイトに導入できます。『visumo comment』のようなノーコードのツールを導入することで、商品説明コンテンツを拡充するのも一つの手だと思います」と話す。
「商品説明」作成のリソースも課題
リソースの問題もある。「商品説明コンテンツ」を作るためには、そのテキストを作成するリソースが必要だ。アパレルブランドなどでは、ECサイトの商品紹介テキストにおいても、外注のライターに作成してもらっているケースが多い。より詳しい「商品説明」のテキストを作成するのであれば、外注では難しいだろう。バイヤーやMD、商品に詳しい販売スタッフなどを駆り出す必要がある。
visumoの井上取締役は、「『visumo comment』ではスマホで画像やテキストを商品詳細ページに投稿できる。画像を作成したり、コメントを考える労力は必要だが、投稿作業自体は簡単だ。バイヤーやMDが商品説明コンテンツを作成することで、販売スタッフが接客する際の参考になるという副次的な効果も期待できる。ツールを活用し、バイヤーやMDのDXを進める価値はあるだろう」と話す。
▲スマホで手軽にコンテンツを拡充できる(写真はイメージ)着こなしや利用法を伝えるスタッフコンテンツや、利用シーンを想起させるUGCなど、ECサイトのビジュアルコンテンツが充実してきたことは、ユーザーにとって歓迎すべきことだ。一方、事業者目線で見てみるとスタッフコンテンツやUGCの普及により、そこで差別化するのは難しくなっている。
周辺コンテンツの拡充により、コンテンツのメインといえる「商品説明コンテンツ」の進化が停滞していることが浮き彫りになってきた。コロナ禍において新規顧客との最初の接点がECサイトになるケースも増える中、ビジュアルを活用した「商品説明コンテンツ」の拡充は、いち早く着手すべき課題だといえるかもしれない。
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