2022.01.20

【記者座談会 2022年EC業界予測<4>越境EC編】中国以外も拡大、課題は物流


中国以外のエリアでも越境ECが拡大


司会:中国以外での越境ECの盛り上がりはどうか。

大多:台湾やベトナム、シンガポールなどは、加熱する中国市場とは異なり、越境ECのフロンティアだという話を以前から聞いている。東南アジア・台湾で最大規模のECプラットフォーム「Shopee」を運営するShopeeは、日本にもショッピージャパンという日本法人を設けており、越境ECを推進していこうという動きを加速している。

東南アジア向け越境ECの魅力としては、消費の感覚が日本と近いことが挙げられる。日本人と同じような感覚で、商品を購入してくれるようだ。化粧品、日用品、ホビー系など、日本の持つ商品は需要が大きい。

手塚:コロナ禍に越境ECで売れるエリアが広がっているようだ。特に欧米圏が伸びたと聞いている。売れるエリアが拡大したことで、売れるアイテムの幅も広がっている。

高額商品も売れるようになってきている。グローバルECモール「eBay」も独自の決済を導入して、100万円以上の高額なアイテムを販売できるようにした。「ポケットモンスター」のカードが、4000万円以上で売れたという話も聞いている。

星野:米国にはない日本の商品が売れているようだ。例えば、痔の薬は米国にはないそうだ。日本で売れているものを大量に仕入れて、米国の通販で販売したところ、米国にいる日本人や、痔に困っている米国人に売れたという話を聞いた。

黒田:米国では日本の菓子も人気だ。ICHIGO(イチゴ)という企業が、越境ECで日本の銘菓を詰め合わせたサブスクリプション型ギフトボックスを販売しており、好調なようだ。2022年7月期の売上高は40億円を見込むという。外国人のマーケッターが社内におり、外国人が日本のどのような菓子を好むのかが分かるという。

さらに、販促には海外のインフルエンサーを使っている。ただ、インフルエンサーマーケティングは広告費がかかりやすいため、今後は、これまでとは違った広告やプロモーションを仕掛けていくことも考えているようだ。


      黒田海椰 記者

【2022年のキーワード「商品調達難の解決策」
コロナの影響で半導体やコーヒー豆などが調達難に。2022年は有効的な解決策を発見できた企業が優位になる。

RECOMMEND合わせて読みたい

RELATED関連する記事

RANKING人気記事