千趣会の通販事業が回復基調にある。2020年1−9月期(第3四半期)の通信販売事業の業績は、売上高が前年同期比9.0%増の488億6900万円、営業利益は17億6300万円(前年同期は1億4200万円)だった。梶原健司社長に通販事業の現状と、JR東日本との資本業務提携の狙いを聞いた。
休眠会員中心に50万人を獲得
――2020年12月期は通販事業が回復する見通しだ。通販事業再建で力を入れてきたことは?
会員基盤を再構築したことだ。特に力を入れてきたのは、もともと弊社のファンだったお客さまが去っていったので、そのお客さまを取り戻すことを優先的に取り組んできた。休眠会員を中心に対前年同時期より50万人のお客さまが増えたことが非常に大きい。
――休眠の掘り起こしと新規開拓で50万人増えたのか?
そうだ。50万人の内訳は、大半が復活となり、新規会員も獲得できている。
――新規の獲得はウェブが中心になるのか?
もちろん、ウェブ上での獲得もあるが、注力しているのは子育てや妊娠・出産のところなので産院ルートだ。自治体で母子手帳を配る際とか、そういった独特のルートを持っている。そこは差別化ということで注力しているポイントだ。
――主力の通販事業に勢いがついたことで、2021年1月からの新年度は、通販事業でどのようなことに取り組んでいくのか?
2020年は会員施策をやったが、それを下支えしているのは商品や提案力だと思う。苦戦しているときは、どこにでもあるような商品を展開したり、オリジナル商品を削ってきた。そこを復活させて、どこよりも気の利いた、こだわった商品を掲載し始めている。新年度においても商品力、提案力、コンテンツ力、編集力を復活させて、それに磨きをかけていきたい。