できる企業・できない企業に『顧客理解の差』
10回以上購入し続けてくれる顧客が、なぜ購入を続けてくれるのか。自分たちの顧客では、どんな人がそういったロイヤルカスタマーになりやすいのか。どんな人がその結果にたどり着いているかといった理由や背景は、意外と分かっていない企業が多いのではないでしょうか。
効果的な施策ができている企業と、そうでない企業では、顧客のイメージがうまくできている(=顧客を理解できている)かどうかに差があります。
集計された数値を見るだけではなく、時には一人の顧客に焦点を当てることも有効です。定量的な傾向の把握だけでは有益なアイデアは生まれにくいと考えています。1人の顧客に対して効果的と考えられる具体的なアイデアを発想すると、具体的な施策につながりやすいでしょう。ペルソナ(架空の顧客)ではなく、実在する一人の顧客から得られる気付きは非常に大きいといえます。
私たちのお客様の中には、ある商品を購入した顧客に調査したところ、その商品に対する期待値は人それぞれだったということが分かった事例がいくつもありました。こうした顧客のお声も活かして、まずは一人のユーザーに喜んでもらえるような施策を練ることが大切です。
現在はコロナ禍で、イベントなど体験型の価値を提供することが難しい状況です。マーケターにとって、優れた顧客体験の提供および顧客実感は尚更必要になっています。
次回からは事例を交えて、顧客データの効果的な運用と、やりがちなミスについてお話します。
「カスタマーリングス」【著者プロフィール】
山崎雄司(やまざき・ゆうじ)氏
1981年生、東京都生まれ。日本大学経済学部卒、トランス・コスモス株式会社に入社。電話やウェブによるマーケティング支援やCRMプロジェクトに従事。2011年、プラスアルファ・コンサルティングに入社。ITを駆使したデータ活用から、マーケティング現場の付加価値を向上させる各種システムの企画・推進のほか、新規事業の企画・開発や既存事業の企画推進、人材育成などを担当する。